ハッブル・エクストリーム・ディープ・フィールド

ハッブル・エクストリーム・ディープ・フィールド (XDF)とは

ハッブル・エクストリーム・ディープ・フィールド（Hubble eXtreme Deep Field、略称：XDF）は、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された、ろ座の方向にある宇宙の非常に狭い領域を捉えた画像です。これは、過去のハッブル・ディープ・フィールド（HDF）、ハッブル・ディープ・フィールド・サウス（HDF-S）、そしてハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド（HUDF）に続く、宇宙深部探査の集大成とも言える成果です。

XDFは、HUDFの一部分をさらに長期間露光することで、より深く宇宙を探ることを目的としていました。2002年6月から2012年3月までの約10年間にわたり、総露光時間約200万秒（22.5日分）をかけて撮影されました。

XDFが捉えた宇宙

XDFの中心座標は、赤経03h 32m 38.5s、赤緯-27° 47′ 00″。その範囲は2.3 × 2 分角と非常に狭いですが、その中には驚くほど多くの銀河がひしめいています。XDFのほぼ中央には、銀河UDF 6206が存在します。また、HUDFで既に発見されていた天体に加え、新たに約5500個もの天体が発見されました。

XDFに写っている最も暗い天体は、人間の目で捉えられる限界の100億分の1の明るさしかありません。これらの天体の中には、活発な星形成を行っている若い銀河から、星形成を終えた年老いた赤い銀河まで、様々な段階の銀河が含まれており、その形状や大きさも多種多様です。

超遠方天体の発見

XDFの画像は2012年9月25日に公開され、その解析から、非常に遠い宇宙に存在する天体の情報が得られました。2012年12月12日には、XDFの画像から、赤方偏移の値が8.6以上の天体が7つ報告されています。その中には、2011年に発見されたUDFj-39546284も含まれており、当初は赤方偏移の値が10.3とされていましたが、XDFの観測によって11.9である可能性が示唆されました。

もしこの値が正しければ、UDFj-39546284は、当時発見されたばかりで、それまでの記録を塗り替えたMACS0647-JDよりもさらに遠く、宇宙で最も遠い天体である可能性が出てきました。ただし、赤方偏移の値にはまだ不確かさが残されており、より正確な値は、2021年に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測を待つ必要があります。

XDFに含まれる主な天体

XDFには、以下のような特徴的な天体が含まれています。

UDF 3166：特に目立つ恒星
UDF 3677：特に目立つ楕円銀河
UDF 6206：XDFのほぼ中央にある銀河
UDF 6523：尾を引いている非常に赤い銀河
UDF 7556：特に目立つ、星形成の激しい渦巻銀河
UDF 9102：非常に赤い不規則銀河
UDF 9230：特に目立つ恒星
UDF 8275・UDF 8314・UDF 8551：見かけの位置が非常に近く、尾を引いている渦巻銀河
* UDFy-38135539：UDFj-39546284の発見までは最も遠い天体であった

XDFは、宇宙の始まりに近い時代の銀河の姿を捉え、宇宙の進化を研究する上で非常に重要なデータを提供しています。今後、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの新しい観測装置によって、XDFの領域がさらに詳しく観測されることで、宇宙の謎がより深く解き明かされることが期待されています。

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