ハドソン (航空機)

ハドソン（Hudson）

ハドソンは、第二次世界大戦中にアメリカのロッキード社によって製造された哨戒・爆撃機です。1938年の12月に初飛行を成功させ、イギリス空軍の要求に基づいてL-14 スーパーエレクトラ旅客機を改造する形で開発されました。アメリカ陸軍航空軍ではA-28/29という名称で、またアメリカ海軍ではPBOとして使用され、沿岸哨戒機としての役割を果たしました。さらに、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、中国にも輸出され、多国籍での運用が行われました。

イギリスでの運用

ハドソンは1939年5月からイギリスの沿岸航空隊に配備され、偵察や哨戒の任務に従事しました。特に対潜哨戒任務においてその能力を発揮し、Uボートとの戦いにおいて重要な役割を果たしました。1941年8月21日には、北大西洋での作戦中にUボートを攻撃し、その結果、敵艦は浮上して降伏したという記録もあります。

また、北海ではドイツ海軍の補給艦「アルトマルク」を発見し、アルトマルク号事件につながる重要な発見をしました。さらに、ハドソンは戦艦「ビスマルク」の追撃戦にも参加しました。しかし1943年頃からは、より高性能な機体にその任務が引き継がれ、ハドソンは輸送機や救難機として戦争終結まで使用されました。

太平洋戦争では、マレー半島及びオーストラリアに配備されたハドソンが日本軍と交戦し、一部の機体が鹵獲されました。これらの鹵獲機体は、日本陸軍航空審査部によって調査され、その後映画『加藤隼戦闘隊』の撮影にも使用されました。実際、著名な日本海軍のエースである坂井三郎は、1942年にオーストラリア空軍のハドソン機と交戦し、その戦闘能力に驚いたことを記録しています。坂井は搭乗員たちを称賛し、その結果、ある要望をオーストラリアの国防相に送りましたが、拒否されるというエピソードも残っています。

アメリカでの運用

アメリカでは、1941年3月よりレンドリース法の適用により、一部のハドソンがA-28として発注され、153機が沿岸哨戒用として使用されました。さらに、AT-18という型が存在し、これはアメリカ陸軍向けに設計された高等練習機です。この機体は銃塔を改装し、島国での航法練習機としても利用されました。

PBO-1とは、アメリカ海軍がA-29をわずかに採用した機体名であり、この機体を通じて、米海軍は陸上発進の双発哨戒爆撃機の有用性を認識し、本格的な開発に向けた動きを見せました。

ハドソンの性能

全長: 19.96m
全幅: 14.33m
全高: 4.80m
翼面積: 51.19m²
自重: 5,484kg
全備重量: 7,938kg
エンジン: ライト GR-1820-G102A 空冷星型9気筒 1,100hp×2
最大速度: 357 km/h（2,400m）
巡航速度: 249 km/h
上昇率: 305 m/min
実用上限高度: 6,400m
航続距離: 1,835km

武装

爆弾: 1,600 lb (726 kg)
7.7mm機銃: (旋回) ×2
7.7mm機銃: (前方) ×2
乗員: 6名

ハドソンは戦争を通じて重要な役割を果たし、哨戒機としてだけでなく、練習機や輸送機としても各国で利用された多用途機でした。

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