ハプログループC (mtDNA)

ハプログループC (mtDNA)は、分子人類学においてミトコンドリアDNAハプログループの一種であり、ハプログループCZの下位系統として分類されます。特定の塩基配列の変異、具体的には「489, 10400, 14783, 15043」などによって定義されます。

このハプログループは約21,700年前にカスピ海とバイカル湖の間あたりで誕生したと考えられており、その後の人類の移動と拡散の歴史を解明する上で重要な手がかりとなっています。

分布

ハプログループCは、特にアメリカ大陸の先住民の間で高い頻度で見られます。南アメリカから中央アメリカにかけての地域では、80%もの高頻度で観察されることがあります。また、シベリア（北アジア）においても、エベンキ族で72%、ユカギール族で69%など、高頻度で検出されています。東アジアにおいても、頻度はそれほど高くはありませんが、このハプログループを持つ人々が確認されています。

ハプログループCの下位系統であるC1は、アメリカ大陸でよく見られる系統ですが、そのうちC1aのみはアジアでも確認されています。これは、古代の人々の移動経路を考える上で重要な情報となります。

下位系統の詳細

ハプログループCは、さらに細かく分類された下位系統が存在します。

M8: 特定の塩基配列変異（4715, 7196A, 8584, 15487T, 16298）を持つ系統です。
CZ: 特定の変異（249d）を持つ系統。
C: 489, 10400, 14783, 15043などの変異で定義される系統。
C1: アメリカ大陸で一般的な系統で、290-291dと16325の変異を持ちます。
C1a: 日本、中国東北部（ダウール族）、シベリア（ウリチ人、ナナイ人、ブリヤート人）、キルギスなどで見られる系統。
C1b: アメリカ先住民、特に北アメリカで多く見られる系統。
C1c: アメリカ先住民で観察される系統。
C1d: アメリカ先住民、特に南アメリカで多く見られる系統。
C1e: アイスランドで見られる系統で、グリーンランド先住民などが起源であると考えられます。
C2 または C4: 2232.1A, 6026, 11969, 15204の変異を持つ系統で、エベンキ族で58%、イルクーツク先住民で50%、ブリヤート族で40%など、シベリアで高頻度に見られます。
C2a または C4b: シベリアで一般的な系統。
C2b または C4a: シベリアで一般的ですが、中国やインドでも低頻度で確認されています。
C2c または C4c: コロンビアのアルワコ族やカナダのシュスワップ族で見られる系統。
C3 または C5: シベリアのチュクチ族、ユカギール族で見られる系統。
* C7: 中国、朝鮮、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、インド（アルナーチャル・プラデーシュ州など）で確認されている系統。

これらの下位系統の分布を調べることで、過去の人々の移動や集団の形成について、より詳細な理解を得ることができます。

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