ハリウッドパーク競馬場

ハリウッドパーク競馬場：栄光と閉場の歴史

ハリウッドパーク競馬場は、かつてアメリカ合衆国カリフォルニア州イングルウッドに存在した、西海岸を代表する競馬場でした。1938年、ハリウッドターフクラブによって設立され、数々の名勝負と歴史的瞬間に彩られたその歴史は、2013年の閉場をもって幕を閉じました。

ハリウッドの輝き：設立から全盛期へ

競馬場建設で知られる建築家アーサー・フローリッヒの設計により誕生したハリウッドパーク競馬場は、その名のとおりハリウッドからほど近い場所に位置していました。初代取締役会議長にはワーナー・ブラザースのジャック・ワーナーが就任し、取締役にはアル・ジョルソンやビング・クロスビーといったハリウッドを代表する著名人が名を連ねていました。

開場以来、ハリウッドゴールドカップをはじめ、ハリウッドダービー、アメリカンオークスなど、数々の重要な競走が開催されました。特にアメリカンオークスでは、日本から招待されたシーザリオが優勝を果たすなど、国際的な舞台としての側面も持っていました。

ハリウッドパーク競馬場は、新しい技術や馬券の発売方式の導入にも積極的でした。1941年にはパトロールフィルム撮影を導入し、1945年にはカメラ塔を設置。さらに、他の競馬場に先駆けて馬単式馬券を導入するなど、常に時代の先端を行く競馬場として知られていました。4連単やPick 6といった、多様な馬券も発売されていました。

1984年には、初のブリーダーズカップが開催されたのも記憶に新しいところです。その後も1987年、1997年と、この歴史的なレースを何度も開催し、アメリカ競馬界におけるその地位を確固たるものとしていました。春季と秋季の開催を行い、金曜日のナイター開催も人気を集めていました。

時代の波：衰退と閉場

しかし、時代の流れとともに競馬産業全体が衰退していく中で、ハリウッドパーク競馬場も例外ではありませんでした。スロットマシンの設置が認められないまま、重賞競走の賞金も減少の一途を辿り、経営は次第に悪化していきました。

1999年にはチャーチルダウンズ社に買収され、その後2005年にはベイメドウズランド社に売却されました。しかし、買収後も経営状況は改善せず、カリフォルニア州政府からのスロットマシン設置許可を得られないまま、閉場の危機に瀕していました。

競馬場の一部敷地はすでに不動産業者に売却され、開発が進められていました。最終的に、2009年7月8日にイングルウッド市議会が再開発を承認し、ハリウッドパーク競馬場の閉場が決定しました。2013年12月22日、長きにわたる歴史に幕を閉じました。

跡地開発と新たな未来

閉場後の跡地は、「ハリウッドパークトゥモロー」と名付けられ、大規模な商業開発が行われました。その中心となったのは、NFLのロサンゼルス・ラムズとチャージャーズが共用するSoFiスタジアム（2020年完成）です。他にも、YouTubeシアターやNFLロサンゼルスビルヂングなどが建設され、かつての競馬場の面影はほとんど残っていません。

コースの特徴

ハリウッドパーク競馬場のコースは、ダートコースが1マイル1/8（約1811メートル）、芝コースが1マイル（約1608メートル）でした。2006年には6ハロンのシュートコースが新設され、短距離競走の開催も強化されました。また、2006年には、他場を先駆けてクッショントラック素材を用いたオールウェザーコースを導入したものの、運用開始直後に不具合が発生し、一時的に運用を休止したという経緯もあります。

日本との繋がり

ハリウッドパーク競馬場と日本には、興味深い繋がりがあります。1966年から1973年まで、京都大賞典は「ハリウッドターフクラブ賞」の名称で開催されていました。これは、日本中央[[競馬会]]の理事が出席したNASRC（北米州競馬委員全国協会）年次総会をきっかけに、ハリウッドパーク競馬場との交流が深まり、日本中央[[競馬会]]賞競走創設に対する返礼として行われたものです。

ハリウッドパーク競馬場は、その歴史と規模、そしてハリウッド黄金時代との繋がりから、アメリカの競馬史において重要な位置を占める競馬場でした。その栄光と閉場の歴史は、競馬ファンにとって忘れられないものとなるでしょう。そして、跡地には新たな活気が生まれ、新たな歴史が刻まれています。

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