ハリス (菓子メーカー)

ハリス株式会社の歴史

ハリス株式会社は、日本でかつて存在した菓子製造販売会社です。この会社は戦後の日本において、特にチョコレートやチューインガムの製造で広く知られていました。ハリスは、カバヤやシスコ、フルタ、前田製菓といった他の有名製菓会社と共に名を馳せました。

創業の経緯

ハリスの創業者である森秋廣は、1952年に大阪で会社を設立しました。もともとは満州から引き揚げた彼が、当時の日本のベビーブームに乗じて、子ども向けの菓子を開発・販売したことがきっかけです。ハリスはピーク時には約1000人の従業員を抱え、多くの人々に愛されましたが、同業他社の参入や主な顧客層の成長に伴い、市場は縮小し、1964年にカネボウ（現クラシエフーズ）に合併されました。

独自のシンボルマーク

ハリスという社名は、幕末の初代駐日公使であるタウンゼント・ハリスに由来しています。また、リスをシンボルマークに用いることで、企業のイメージが親しみやすく表現されました。特に腹話術師の川上のぼるが登場する「ハリス坊や」を用いたキャンペーンは、多くの人々に親しみを持たれました。

森秋廣の背景

森は1907年に香川県に生まれ、家業が米や塩、砂糖などを扱う商業だったため、幼少期からビジネス感覚に秀でていました。彼は神戸の外国語学校を卒業後、貿易ビジネスに取り組むことで菓子産業に関心を持ち、最終的にハリスを設立することに至ります。

戦後の新たなスタート

敗戦後、森は戦争の混乱を経て1946年に大阪で森又商会を再建し、物資が乏しい中でも創意工夫を凝らし、チョコレートの製造を開始しました。1948年には「ハリスチョコレート」として販売し、国民からの支持を受け一大ヒット商品となりました。

チューインガムの革新

ハリスが特に有名になったのは、1951年に開発したチューインガムでした。この商品は当時、アメリカで人気のあった天然チクルを参考にしつつ、独自の製法で製造されました。このチューインガムは大ヒットを記録し、森は日本菓子工業会の副会長に就任するまでに至りました。さらに、ハリスの製品を広めるために、テレビやラジオを利用した広告展開も行い、特にラジオ番組「ハリスクイズ」は大変な人気を呼びました。

企業合併とその後

1964年、森は体調を崩し、ハリスはカネボウに吸収されることとなります。その結果、ハリスのブランドは新たな企業の一部として存続することになりました。後にカネボウ食品がさまざまな社名を経て、最終的にクラシエフーズとして現在に至ります。

まとめ

ハリスは日本の菓子業界において、大きな影響を与えた企業の一つであり、特に子ども向け製品に特化した戦略が功を奏しました。現在でもハリスの名を聞くたびに、当時の菓子文化を思い起こさせる存在として人々の記憶に残っています。

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