ハリー藤原

ハリー・フジワラ：プロレス界のレジェンド、ミスター・フジの生涯

ハリー・フジワラ（1934年生まれ、2016年没）は、ミスター・フジというリングネームで世界的に知られたアメリカ合衆国のプロレスラー、そしてプロレスマネージャーです。ハワイ州ホノルル出身の日系アメリカ人で、プロレス界において類まれなキャリアを誇ります。1935年生まれとする説もありますが、確かな記録はありません。

華麗なるレスラー人生：

少年時代からハワイ相撲で鍛えた肉体と、YMCAで同郷のレスラーから学んだレスリング技術を武器に、フジワラは1962年にプロレスラーとしてデビュー。当初は「ミスター・フジワラ」のリングネームでハワイを主戦場として活躍し、1965年にはNWAハワイ・タッグ王座を獲得するなど、早くから頭角を現しました。

1966年からはアメリカ本土に進出し、太平洋岸北西部を拠点に活躍。NWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座にも挑戦するなど、着実にキャリアを積み重ねていきます。1971年には「シンタロー・フジ」のリングネームでオーストラリアにも遠征、IWA世界タッグ王座を獲得するなど、国際的な活躍もみせました。

1972年、フジワラは運命の転機を迎えます。「ミスター・フジ」としてWWF（現WWE）に登場、トール・タナカとタッグを組み、狡猾な日系ヒールとして人気を博しました。タナカとのコンビは、WWWF世界タッグ王座を2度獲得、NWAジョージア地区のタッグ王座も獲得するなど、数々のタイトルを獲得。シングル戦線でも、NWA USヘビー級王座を獲得するなど、レスラーとしての実力を証明しました。全日本プロレスへの参戦経験もあり、日本のプロレスファンにも知られた存在となっていきます。

1977年にはタナカとのコンビを再結成、再びWWWF世界タッグ王座を獲得。その後も、様々な団体を渡り歩き、ミスター・サイトー、タイガー・チャン・リーなど、多くのレスラーとタッグを組み、AWA南部タッグ王座、NWA英連邦ヘビー級王座など、数々のタイトルを獲得しました。全日本プロレスには複数回参戦し、時には日本陣営の一員として、アブドーラ・ザ・ブッチャーやキラー・トーア・カマタらと激しい試合を繰り広げ、ジャイアント馬場とのタッグマッチも実現するなど、日本のプロレスファンの記憶にも強く刻まれています。1981年には、天龍源一郎と組んでNWAミッドアトランティック・タッグ王座を獲得、日本だけでなく、世界を舞台に活躍したレスラーとしての側面が垣間見えます。

WWFでは、ミスター・サイトーとのタッグでWWFタッグ王座を2度獲得、これにより、WWWF世界タッグ王座と合わせて、ニューヨークのタッグタイトルを5回獲得するという偉業を達成しました。タイガーマスクとの対戦では、フォールを取ることのできなかった唯一のレスラーという記録も残しています。

マネージャーとして第二のキャリア：

1985年、セミリタイア後は、ハロルド坂田のオッドジョブを思わせる燕尾服姿で、悪徳マネージャーとしてWWFに転身。デモリッション、ヨコズナなど、多くのレスラーを率いて成功を収め、10年以上にわたりWWFを代表するマネージャーとして君臨しました。ヨコズナと共にベビーフェイスに転向したレッスルマニアXIIが、彼のプロレス人生の最後の舞台となりました。

引退後と殿堂入り：

引退後はテネシー州でトレーニングジムを運営し、2007年にはWWE殿堂入りを果たしました。殿堂入りセレモニーでは、かつてマネジメントしたドン・ムラコがインダクターを務めました。

2016年82歳で他界。ミスター・フジは、卓越したレスリングテクニックと、ヒールとして観客を魅了するカリスマ性、そして、マネージャーとしての戦略眼を兼ね備えた、プロレス界の真のレジェンドとして、今もなお語り継がれています。

得意技と獲得タイトル：

ミスター・フジの得意技は、カミカゼ・クローズライン、ジュードー・チョップ、ショルダー・クローなど、そして、日系ヒール定番の塩攻撃は、彼のトレードマークとなりました。獲得タイトルは、NWAハワイ・タッグ王座、NWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座、WWWF世界タッグ王座（WWFタッグ王座を含む）、NWAジョージア・タッグ王座、NWA USヘビー級王座、AWA南部タッグ王座、NWA英連邦ヘビー級王座など、実に多数にのぼります。これらの輝かしい戦績が、彼のプロレス界における偉大な足跡を物語っています。

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