ハロー・メリー・ルー

「ハロー・メリー・ルー」（Hello Mary Lou）は、1961年にリッキー・ネルソンの歌唱によって広く知られるようになったアメリカ合衆国のポピュラーソングです。この楽曲は、1957年に発表された「メリー、メリー・ルー」（Merry, Merry Lou）という別の楽曲を基に制作されました。

原曲「メリー、メリー・ルー」の誕生

原曲である「メリー、メリー・ルー」は、後にカトリック教会の司祭となるケイエット・マンジアラシーナによって書かれました。彼がピアニストを務めていたグループ、スパークス（The Sparks）が1957年にデッカ・レコードからこの曲を発表すると、特にニューオーリンズ周辺で地域的な人気を博しました。ビル・ヘイリーやサム・クックといった著名なアーティストも、この曲を取り上げています。

後年、リッキー・ネルソンによる「ハロー・メリー・ルー」が世界的に成功を収めると、両楽曲の類似性が指摘されるようになりました。その結果、マンジアラシーナは「ハロー・メリー・ルー」の共作者として正式に認められ、著作権使用料も支払われることになりました。

「ハロー・メリー・ルー」の展開とリッキー・ネルソン版の成功

「ハロー・メリー・ルー」は、当初ジーン・ピットニーが単独で作曲したとされ、1960年にカントリー歌手のジョニー・ダンカンが最初に歌いました。翌1961年、ティーンアイドルとして絶大な人気を誇っていたリッキー・ネルソンがこの曲をレコーディングします。

ネルソンが発表したバージョンは、全米チャートで首位を獲得した大ヒット曲「トラベリン・マン」（Imperial 5741）のB面に収められていました。しかし、1961年 5月28日付のビルボード誌のチャートでは単独で9位まで上昇する人気を示しました。イギリスではこの曲がA面としてリリースされ、2位まで順位を上げました。ヨーロッパ各国でも広くヒットし、特にノルウェーでは14週間にわたってチャートの頂点を維持するという驚異的な記録を打ち立てています。こうした世界的な成功により、リッキー・ネルソンのバージョンがこの曲の代表的な歌唱として認識されるようになりました。

ネルソン版のヒット後、改めて原曲「メリー、メリー・ルー」との類似性が注目され、以降この楽曲はジーン・ピットニーとケイエット・マンジアラシーナの共作として扱われることになったのです。

音楽的な特徴と参加ミュージシャン

リッキー・ネルソン版「ハロー・メリー・ルー」には、後世のギタリストに多大な影響を与えたジェームズ・バートンの伝説的なギターソロがフィーチャーされています。クイーンのギタリスト、ブライアン・メイをはじめ、多くのアーティストがこのソロを引用したり、自身の演奏に取り入れたりしています。このレコーディングには、ネルソンのセッションに新しく加わったレイ・ジョンソンがピアノ、ジョー・オズボーンがベース、リッチー・フロストがドラムとして参加しています。

この曲はネルソンの6枚目のアルバム『Rick Is 21』に収録されています。また、日本では1982年8月にキングレコードから再発売され、同年のキユーピー「マヨネーズ・アメリカン」のコマーシャルソングとして使用され、再び注目を集めました。

多様なカバーバージョン

「ハロー・メリー・ルー」は、その人気から時代やジャンルを超えて多くのアーティストによってカバーされています。代表的な例としては、ザ・シーカーズ（1968年）、ブラウンスヴィル・ステーション（1970年）、ボビー・ルイス（1970年、全米カントリートップ15）、レッド・ツェッペリン（1972年ライブ録音）、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル（1972年）、クイーン（1986年ライブ演奏）、ダニエル・オドネル（2004年）などが挙げられます。ペトゥラ・クラークはフランス語で「Bye Bye Mon Amour」としてカバーしたほか、アメリカのバンド、La Musique Populaireは1961年の音楽を代表する一曲としてアルバムに取り上げています。

日本語によるカバー

日本でも複数のアーティストがこの曲を日本語でカバーしています。ザ・ピーナッツは1961年に音羽たかしの日本語詞による「ヘロー・メリー・ルー」をシングル「ペピト」のB面に収録しました。また、弘田三枝子も1962年にこの曲を録音しており、当時はシングル化されませんでしたが、後に積極的にCDに収録され、今日では比較的容易に入手可能です。

日本における著作権情報

日本音楽著作権協会（JASRAC）には、2018年時点で「0H0-2080-9 HELLO MARY LOU / GOODBYE HEART /」として外国作品として登録されています。国内外合わせて26組の歌手がアーティストとして登録されており、音楽出版者はSONGS OF UNIVERSAL INCとSIX CONTINENTS MUSIC PUBLISHING INCです。日本国内においては、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング、シンコーミュージック・エンタテイメント、ワーナー・チャペル音楽出版、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスといった複数のサブ出版者が著作権を管理しており、出版、録音、演奏など利用目的によって申請窓口が異なるため注意が必要です。

「ハロー・メリー・ルー」は、その誕生からヒット、そして多くのアーティストによる継承を経て、今なお世界中で親しまれている不朽のナンバーと言えるでしょう。

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