ハンバントタ港

ハンバントタ港、またはマガンプラ・マヒンダ・ラージャパクサ港は、スリランカ南部のハンバントタ県に位置する港湾です。スリランカの主要な国際港湾として、西部のコロンボ港、東部のトリンコマリー港に次ぐ第三の港として、その存在感を増しています。

港湾建設と中国の関与

2008年から建設が開始されたハンバントタ港は、複数期にわたる大規模な開発計画の下で進められました。初期段階の工事では、中国が建設費用の85%を借款で支援し、中国国有企業の中国港湾工程公司が建設を担当しました。2010年に第一期工事、2015年に第二期工事が完了し、乗客用ターミナル、貨物取扱所、倉庫、燃料積込地などが整備されました。

この港湾は、中国にとってインド洋におけるシーレーン、特に「真珠の首飾り戦略」において重要な位置を占めています。2014年には中国人民解放軍海軍の宋級潜水艦を含む複数の中国艦船が寄港し、その戦略的価値が示されました。

港湾運営と現状

しかし、コロンボ港と比較して、ハンバントタ港へのアクセス道路などのインフラ整備が遅れており、港湾の稼働率は低迷しています。2017年の年間寄港船数は251隻にとどまりました。スリランカ政府の財政難もあり、2017年8月には向こう99年間の港湾運営権が11億米ドルで中国企業に貸与される契約が締結されました。この契約には、インドの警戒感に配慮し、中国人民解放軍による軍事利用は認めないという条件が含まれています。

ハンバントタ港を巡る議論

ハンバントタ港の事例は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」における港湾開発の光と影を示すものとして、国際的な議論を呼んでいます。港湾の運営権が中国企業に長期貸与されたことは、スリランカの債務問題や中国の戦略的意図への懸念を惹起しました。一方で、港湾開発は地域経済の活性化に貢献する可能性も秘めており、その影響は多角的に評価されるべきでしょう。

関連事例

ハンバントタ港の事例は、中国企業が海外の港湾運営に関与する他の事例と類似しています。オーストラリアのダーウィン港やニューカッスル港も、中国企業に長期の使用権が付与されています。また、過去には香港がイギリスに99年間租借された例もあり、港湾の戦略的な重要性と長期的な運営権の移転は、国際政治における複雑な側面を示しています。

ハンバントタ港の事例は、マッタラ・ラージャパクサ国際空港、マヒンダ・ラージャパクサ、借金漬け外交といった関連キーワードと共に、現代の国際関係における重要なテーマとして注目されています。

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