バイオハザード アウトブレイク

バイオハザード アウトブレイク

『バイオハザード アウトブレイク』は、2003年12月11日にカプコンよりPlayStation 2向けに発売されたホラーアクションアドベンチャーゲームです。シリーズのメインストーリーとは異なる「番外編」として位置づけられていますが、その内容は本編の世界観と深く繋がっています。翌年には、調整が加えられた続編『バイオハザード アウトブレイク ファイル2』も登場しています。

ゲームの舞台と概要

物語の舞台は、『バイオハザード2』や『バイオハザード3 LAST ESCAPE』で描かれたバイオハザード発生下にあるラクーンシティです。しかし、本作の主人公はシリーズおなじみの特殊部隊員や警察官ではなく、感染拡大に取り残された一般市民たちです。プレイヤーは、薬剤師、新聞記者、警察官、ウェイトレス、配管工、元軍人、駅員、学生といった様々な職業を持つ8人のキャラクターの中から一人を選び、ラクーンシティからの生還を目指します。市が軍の戦術ミサイルによって消滅させられるまでの、まさに終末の数日前から数時間前という極限的な時間軸が描かれており、大災害に翻弄される市井の人々の苦悩や葛藤に焦点を当てた人間ドラマが展開されます。

物語は、それぞれ独立した5つのシナリオで構成されています。最初のシナリオ「発生」から始まり、クリアすることで新たなシナリオが解放されていきます。各シナリオはラクーンシティ内の異なる場所を舞台としており、シリーズの過去作品で登場した警察署や研究所、病院といったマップがアレンジされて再登場することも、ファンにとっての見どころの一つです。

最大の特徴：オンライン協力プレイ（現在はオフラインのみ）

本作最大のセールスポイントは、シリーズで初めてPlayStation 2のネットワーク機能を活用したオンライン協力プレイに対応した点でした。プレイヤーは最大4人まで一緒にゲームに参加し、協力してシナリオのクリアを目指せました。当時はKDDIの有料ネットワークサービス「マルチマッチングBB」への加入が必要でしたが、同サービスの終了に伴い、2011年6月30日以降はオンラインモードでのプレイは不可能となり、現在はオフラインモードのみでのプレイとなっています。

オンラインプレイでは、他のプレイヤーとの直接的なテキストチャットやボイスチャットはできませんでしたが、あらかじめ用意された定型文やキャラクター名呼びかけといった「アドリブ」や「アピール」システムを通じて意思疎通を図るという独特のスタイルが採用されていました。これにより、限られた情報の中で状況を判断し、仲間と連携する緊張感と面白さが生まれ、本作ならではの協力体験を提供していました。

オフラインモードでは、プレイヤーと共にAIが操作する仲間（AIPC）が行動します。AIPCは使用するキャラクターによって行動の癖が異なり、プレイヤーの指示や状況に応じて単独行動をとったり、回復アイテムの使い方に個性があったりと、リアルな行動パターンが特徴です。オンラインでもオフラインでも、アイテムの受け渡しなどで仲間との連携が重要となります。

独特のゲームシステム

本作には、従来のシリーズには見られない独自のシステムが多数導入されています。

無限に出現する敵: ゾンビをはじめとする一部の敵は、一度倒してもエリアを切り替えるなどすると再び出現する可能性があります。場所によっては扉をこじ開けて侵入してくることもあり、常に油断できない状況が生まれます。
ウィルスゲージ: 各キャラクターにはウィルス感染の進行度を示すゲージが存在します。時間経過や敵からの攻撃などで上昇し、100%に達すると体力が残っていてもゲームオーバーとなります。オンラインでは、ゾンビ化して一定時間行動できるという特徴もありました。
身近な武器: 主人公が一般市民であるため、ハンドガンやショットガンといった銃器だけでなく、包丁、鉄パイプ、松葉杖、バケツといったその場にある物が武器として使用できます。威力は銃器に劣るものの、弾薬が限られる状況では重要な選択肢となります。
常に進行する時間: メニュー画面を開いてもゲーム内の時間は止まりません。アイテム整理やマップ確認の最中にも敵に襲われる可能性があるため、安全な場所を見つけて行動する必要があります。
* キャラクターの個性: 8人のプレイヤーキャラクターはそれぞれ体力や移動速度、ウィルス感染速度などに傾向の違いがあるほか、「スペシャルアクション」と呼ばれる固有の能力や、最初から持っている「パーソナルアイテム」が異なります。これらの特性を理解し、状況に応じて使い分けることが生存への鍵となります。

シナリオの進行には、謎解きやアイテム収集が不可欠ですが、時に鍵のかかった扉を攻撃やピッキングでこじ開けたり、特定のアイテムを合成して新たな道具を作り出すといったアクションも求められます。

シナリオとクリーチャー

各シナリオは「発生」「零下」「巣窟」「獄炎」「決意」とそれぞれ異なるテーマや舞台設定を持ち、固有のボスが待ち構えています。アンブレラ地下研究所で目覚めるハンターや、ラクーン総合病院を徘徊するリーチマン、炎上するホテルに潜むサスペンデッド、そしてラクーン大学で生み出されたタナトスといった、シリーズでおなじみのクリーチャーから本作独自の変異体まで、多様な脅威がプレイヤーに襲いかかります。特に最終シナリオ「決意」では、T-ウィルスに対する特効薬「デイライト」を巡るドラマが描かれ、プレイヤーの行動やデイライトの使用状況によって複数のエンディングに分岐するという特徴があります。

やり込み要素

ゲームクリア時には、行動に応じたクリア率が表示され、獲得したポイントで様々な要素を解放・購入できます。キャラクターの隠しコスチューム、プレイアブルキャラクターの追加、ゲーム中のムービーや設定資料、BGMの視聴、さらには弾薬無制限となる隠しモードなど、豊富なコレクション要素が用意されており、全要素の解放を目指すには繰り返しプレイが必要となります。

『バイオハザード アウトブレイク』は、シリーズの新たな可能性を追求した意欲作として、その独特のシステムと緊張感あふれるサバイバル体験で、多くのファンに記憶される作品となっています。

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