バイラム・ハーン

バイラム・ハーンの生涯と業績

ムガル帝国への仕官

1501年頃、バイラム・ハーンはアフガニスタンのバダフシャーンに生まれました。彼の家族はトルコ系カラ・コユンルの出身であり、その先祖はムガル帝国の初代皇帝バーブルに仕えていました。バイラム・ハーン自身も16歳のころからバーブルの遠征に参加し、若い頃から戦場を経験してきました。

フマーユーンとアクバルの重臣として

バイラム・ハーンは、バーブルの後を継いだフマーユーンのもとで得た実績により、初めはグジャラート、ベンガル、ヴァーラーナシーといった地で戦功をあげていきます。1540年、フマーユーンがスール朝のシェール・シャーにデリーを追われた際、バイラム・ハーンは彼に従い、イランへと逃れました。そこで彼はカンダハールの知事として任ぜられました。

1555年、フマーユーンがデリーに帰還する際、バイラム・ハーンはその軍を指揮し、シルヒンドの戦いで勝利を収めました。フマーユーンの死後、バイラム・ハーンは幼い皇帝アクバルの摂政となりますが、スール朝の残党ヘームーが反乱を起こし、デリーを制圧しました。バイラム・ハーンはアクバルと共にこの勢力を討伐に向かうことになります。

第二次パーニーパットの戦い

ヘームーの軍に対する戦闘では、圧倒的な戦力差があったものの、バイラム・ハーンは勇敢に戦うことを選びました。結果的に、ヘームーが負傷し、連携が崩れたことで帝国軍は勝利を収め、再びデリーを奪回しました。この戦いの成功により、アクバルは帝国の皇帝としての地位を確立することとなります。

宮廷内の対立とアクバルの実権掌握

戦後、バイラム・ハーンは権力を持つものの、彼の支持者であるシーア派に対する不満が宮廷内で高まりました。また、アクバルは彼の力を恐れつつも信頼していました。しかし、次第にアクバルの判断や統治能力への意識が芽生え、バイラム・ハーンとの対立が深まることになります。最終的に、アクバルはバイラム・ハーンを失脚させる計画を立て、狩りを口実にデリーに戻ることにし、バイラム・ハーンを置き去りにしました。

反乱と死

失脚後、バイラム・ハーンはメッカ巡礼を命じられましたが、権力が他に移ったことに屈辱を感じ、パンジャーブに戻って反乱を起こします。兵力は彼に劣るも、アクバルは追討を命じ、ジャランダルの戦いでバイラム・ハーンは敗北し、反乱は鎮圧されます。再度アクバルに降伏することになりますが、彼の人生の最後は不運にもアフガン人の手にかけられることとなりました。

バイラム・ハーンの死の後、アクバルは彼を悼み、彼の妻と息子を保護することになりました。このように、バイラム・ハーンはムガル帝国の歴史において重要な役割を果たし、彼の人生の波乱は帝国の初期の動乱を象徴していると言えるでしょう。

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