バスカード (広島県)

バスカードについて

バスカードは、1993年から2011年まで広島県の交通機関で利用できた磁気式の乗車カードシステムです。このシステムは、広島県西部と北部のバスや鉄道で共通して利用されるものでした。しかし、ICカード乗車券であるPASPYの普及に伴い、バスカードは2010年1月を目途に販売を終了し、2011年3月31日にはすべての利用が停止されました。

背景

広島都市圏では、同じ方面を運行する複数のバス事業者が存在し、1983年からは「6社共通回数券」として、広島電鉄、広島バス、広島交通、芸陽バス、備北交通、国鉄バスの共通利用が行われていました。この回数券が磁気式プリペイドカードに改良される形で、バスカードが誕生しました。

このカードは、全国での導入例がある一方、多くの事業者が共通利用できる磁気式カードとしての先駆け的存在でした。公式名称は発行する事業者によって異なり、広島電鉄およびエイチ・ディー西広島では「パセオカード」、アストラムラインでは「アストラムカード」、その他のバス会社では「バスカード」と名付けられていました。バスカードという名称で統一することで、利用者にとっては分かりやすくなっていました。

発売と利用方法

バスカードは、1,000円、3,000円、5,000円の3種類があり、すべて大人専用です。各発売額ごとに10%のプレミアムが付与されており、例えば1,000円であれば1,100円分の利用が可能でした。広島電鉄が発行するカードの裏面には、利用できる公共交通機関の種類が記されています。

カードの購入は多様な場所で行うことができ、広島電鉄の車両内やバス停、広島バスセンターでは自動販売機から購入可能でした。また、バスカードの一部は映画割引券としても使用できる特典がありました。

広島県以外の地域への越境利用も可能で、広島県と島根県のバス道を結ぶ路線でも利用できました。このため、利用者は広島県内外でバスカードを使うことができる大変便利なシステムでした。

利用可能な社局

バスカードを利用できる社局は、広島電鉄、広島バス、広島交通、芸陽バス、備北交通、JRバス中国、アストラムライン、呉市交通局などがありました。2011年のサービス終了まで利用可能な社局はこれらの会社です。

各社局間での相互利用が可能であり、広電電車から別のバス会社への乗り換えなどもスムーズに行えました。さらに、広電電車の乗客は、乗車時にカードリーダーでカードを通すだけで乗車駅が記録され、降車時にもスムーズに運賃が引き落とされました。

歴史的な流れ

1983年に導入された共通回数券から始まり、1993年のバスカードサービス開始まで、広島の公共交通機関は進化を遂げてきました。1994年には広島高速交通が参入し、さらにサービスを充実させました。1996年には呉市交通局も加わり、利用できる範囲が広がりました。2009年のPASPY導入後、利用者は新たなICカードに移行していくことになりました。

その後、2011年3月31日にはすべてのバスカードの利用が終了し、以降の乗車にはPASPYを使用することが求められるようになりました。バスカードは利用終了後も、払い戻しやPASPYへの移行が可能で、多くの利用者にとって大変便利な選択肢であったと言えるでしょう。

結論

バスカードは、広島県の公共交通機関を支える重要なシステムであり、地域の交通サービスの向上に大きく寄与しました。その利便性と多機能性により、多くの乗客に利用されていましたが、時代の変化とともにICカードに代替されることとなりました。

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