バスク系チリ人

バスク系チリ人

バスク系チリ人とは、主に16世紀から19世紀にかけて、スペインとフランスにまたがるバスク地方からチリへ移住した人々、およびその子孫を指します。彼らはコンキスタドール、兵士、商人、聖職者など、様々な立場でチリに渡り、チリ社会の形成に大きく貢献しました。

歴史

バスク人のチリへの移住は、スペインによるアメリカ大陸の植民地化とともに始まりました。初期の征服者の中には、バスク地方出身の者が少なくありませんでした。16世紀にはすでに多くのバスク系住民がチリに定住し、その数は徐々に増加していきました。

18世紀には、バスク地方からの大規模な移民が起こり、チリの人口の約27%がバスク系になったと推定されています。これらの移民は主に商業に従事し、その後、地主や貴族と結びつき、「チリ＝バスク貴族」と呼ばれる新たな社会階層を形成しました。彼らはチリ社会のエリート層として、政治、経済、文化など、様々な分野で影響力を持つようになりました。

19世紀後半には、再びバスク人移民の波が押し寄せました。この時期には、スペインだけでなくフランスからの移民も増加しました。スペイン内戦終結後には、多くのバスク人難民がチリに亡命し、その数はさらに増加しました。

社会への影響

バスク系チリ人は、チリ社会の様々な分野で重要な役割を果たしてきました。彼らは勤勉さと企業家精神を発揮し、経済発展に大きく貢献しました。また、政治家、軍人、芸術家など、多くの著名な人物を輩出し、チリの文化や社会に多大な影響を与えました。

ミゲル・デ・ウナムーノは、「少なくとも二つの事物が明白にバスクに貢献している。それはイエズス会と、チリ共和国である」と述べ、バスク人とチリの関係の深さを指摘しています。

著名なバスク系チリ人

マヌエル・バケダーノ：軍人
ホセ・ミゲル・カレーラ：軍人・政治家（チリ独立戦争の英雄）
ベルナルド・オイギンス：軍人・政治家（チリの初代元首）
サルバドール・アジェンデ：第29代チリ大統領
アウグスト・ピノチェト：第30代チリ大統領
セバスティアン・ピニェラ：第35代チリ大統領
ガブリエラ・ミストラル：詩人（ノーベル文学賞受賞）
パブロ・ネルーダ：詩人（ノーベル文学賞受賞）
イサベル・アジェンデ：作家

バスク系チリ人の人口

バスク系チリ人の人口は、推定でチリ総人口の10%から27%に達すると言われています。これは、約160万人から450万人に相当する数です。彼らはチリ社会において、依然として重要な存在感を示しています。

関連項目

イタリア系チリ人
ブリテン系チリ人
ドイツ系チリ人
* パレスチナ系チリ人

バスク系チリ人は、チリの歴史と文化に深く根ざした存在であり、その影響は今日でも様々な分野で見ることができます。

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