バセイン条約 (1802年)

バセイン条約について

バセイン条約（Treaty of Bassein）は、1802年12月31日にインドのバセインで結ばれた重要な契約です。この条約は、イギリス東インド会社とマラーター王国の宰相、バージー・ラーオ2世との間に成立しました。バセイン条約は、マラーター王国の政治的状況やその後の戦争に大きな影響を与えました。

背景

1802年の時点で、マラーター同盟には内紛が続いていました。特に、同年10月に発生したプネーの戦いでは、宰相バージー・ラーオ2世がヤシュワント・ラーオ・ホールカルに敗北し、プネーを逃れる事態となりました。この戦闘は、マラーター王国内での権力争いをさらに激化させる要因となりました。戦いに敗れたバージー・ラーオ2世は、イギリスの保護を求める決断を下します。

条約の内容

バセイン条約では、いくつかの重要な条項が定められました。まず、イギリスはマラーター王国に6,000人の兵を常駐させることを約束しました。このことは、イギリスがマラーター内政に強く関与し、影響力を発揮する基盤となりました。

また、バージー・ラーオ2世は、260万ルピーに相当するマラーター王国の領土をイギリスに割譲することに同意しました。これにより、イギリスはその地域の経済的支配権を強化しました。さらに、条約において宰相はイギリスの了承なしに他国と条約を結ぶことや、戦争を宣言することを禁じられました。これらの条項は、バージー・ラーオ2世の外交上の自由を大きく制限するものでした。

バージー・ラーオ2世の帰還

バセイン条約の締結により、バージー・ラーオ2世はイギリスの支援を受け、1803年5月にはプネーに帰還することができました。しかし、この帰還は単なる勝利ではなく、条約によってマラーター王国の領土が減少し、イギリスが内政に介入することが確立されたことは、多くの諸侯の反発を招きました。

影響と結果

バセイン条約が締結されたことによって、マラーター王国は内紛の解決を模索する一方、イギリスの影響が日に日に強まることになりました。マラーター王国の内部ではこの条約に対して不満が高まり、その結果、1830年代に起こる第二次マラーター戦争へと繋がっていくことになるのです。この戦争は、イギリスのインドにおける支配をさらに確固たるものにした重要な出来事です。

結論

バセイン条約は、一見するとバージー・ラーオ2世の短期的な勝利に見えるかもしれませんが、実際にはマラーター王国の運命を大きく変えるものでした。この条約を通じてイギリスは極めて強力な政治的足場を築き、インド全体への影響力を増していきます。

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