マラーター同盟

マラーター同盟は、18世紀初頭から19世紀初頭にかけて、インド亜大陸の中部を拠点に勢力を拡大した、マラーター王国と複数の有力諸侯による連合体です。1708年から1818年まで存在し、一時的にインドの覇権を握るほどの強大な勢力でしたが、最終的にはイギリス東[[インド会社]]との戦いに敗れ、解体されました。

歴史

マラーター王国の勃興

17世紀後半、シヴァージーという指導者のもと、ヒンドゥー教徒であるマラーターの人々がムガル帝国に対して反乱を起こしました。シヴァージーはマラーター王国を建国し、ゲリラ戦術を駆使してムガル帝国を苦しめました。シヴァージーの死後、後継者たちはムガル帝国との戦いを続けましたが、一時的に勢力が衰退しました。

マラーター同盟の形成と拡大

18世紀に入ると、ムガル帝国の衰退に乗じてマラーター王国の勢力が再び拡大しました。1708年、シャーフーが王位に就くと、王国は諸侯（サルダール）と連合してマラーター同盟を結成しました。同盟は、宰相バーラージー・ヴィシュヴァナートの指導のもと、勢力を拡大し、1719年にはサイイド兄弟によるムガル皇帝の廃位を支援しました。

その後、宰相バージー・ラーオ1世の時代には、マラーター勢力はデカン高原からインド中部、北インドへと拡大し、1737年にはムガル帝国の首都デリーを攻撃しました。バージー・ラーオは、征服した地域をマラーター諸侯に統治させ、彼らから忠誠と貢納を取り立てることで、同盟を強固にしました。

この結果、シンディア家が北インド、ホールカル家がマールワー、ガーイクワード家がグジャラートをそれぞれ統治するようになり、イギリス人はこの状態を「マラーター同盟」と呼ぶようになりました。ただし、同盟内には複雑な対立関係も存在しました。バージー・ラーオは、マラーター王権を名目化し、宰相が事実上の「王」となり、同盟の盟主を兼ねる体制を確立しました。

マラーター同盟の最盛期と衰退

バージー・ラーオの息子、バーラージー・バージー・ラーオの時代には、マラーター同盟の領土はさらに拡大し、オリッサやベンガルにも侵攻しました。また、1757年にはパンジャーブを制圧し、一時はインド全域の覇者となる勢いを見せました。しかし、1761年の第三次パーニーパットの戦いで、アフガン勢力に大敗を喫し、数万の犠牲者を出すという壊滅的な打撃を受けました。

この敗戦を機に、マラーター同盟の結束は緩み、有力諸侯が分立するようになりました。宰相マーダヴ・ラーオの活躍で一時的に勢力を回復したものの、18世紀末にはイギリス東[[インド会社]]との対立が深刻化しました。

イギリスとの抗争と解体

18世紀末から19世紀初頭にかけて、マラーター同盟はイギリス東[[インド会社]]との間で3度にわたるマラーター戦争を繰り広げました。第一次マラーター戦争ではマラーターが優位に立ったものの、第二次マラーター戦争では諸侯間の連携が不足し、イギリスに敗北しました。1802年には、宰相バージー・ラーオ2世がイギリスと軍事保護条約を結び、プネーに帰還しましたが、このことがマラーター諸侯の反発を招き、戦争につながりました。

第三次マラーター戦争では、マラーター同盟は各個撃破され、1818年には宰相バージー・ラーオ2世が降伏し、マラーター同盟は完全に解体されました。宰相府の領土はイギリスに併合され、諸侯の領土は藩王国として存続することを許されました。

マラーター同盟の構成勢力

マラーター同盟は、以下の勢力で構成されていました。

マラーター王国
コールハープル・マラーター王国
タンジャーヴール・[[マラーター王国]]
ホールカル家（インドール）
シンディア家（グワーリヤル）
ボーンスレー家（ナーグプル）
ガーイクワード家（ヴァドーダラー）
パワール家（ダール、デーワース）
ゴールパデー家（ムドール）
パトワルダン家（クルントワード、ミラジ）

マラーター同盟の盟主

マラーター同盟の盟主は、以下の人々が務めました。

バーラージー・ヴィシュヴァナート（1713年 - 1720年）
バージー・ラーオ1世（1720年 - 1740年）
バーラージー・バージー・ラーオ（1740年 - 1761年）
マーダヴ・ラーオ（1761年 - 1772年）
ナーラーヤン・ラーオ（1772年 - 1773年）
ラグナート・ラーオ（1773年 - 1774年）
マーダヴ・ラーオ・ナーラーヤン（1774年 - 1795年）
バージー・ラーオ2世（1795年 - 1818年）

まとめ

マラーター同盟は、18世紀にインドで大きな影響力を持った連合体でしたが、内部の対立やイギリスの侵攻により、最終的に解体されました。その歴史は、インドの歴史における重要な一部分であり、その興亡は、現代のインドにも影響を与え続けています。

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