バージー・ラーオ2世

バージー・ラーオ2世の生涯と業績

バージー・ラーオ2世（Baji Rao II、1775年1月10日 - 1851年1月28日）は、インドのマラーター王国の最後の宰相であり、歴史的な重要人物です。彼は1796年から1818年まで宰相の地位にあり、マラーター同盟の盟主でもありました。彼の人生は、マラーター王国の運命に深く関わる多くの政治的な出来事や戦争に彩られています。

宰相就任

バージー・ラーオは廃位された宰相ラグナート・ラーオの息子として生まれました。父は宰相の復帰を目指し、イギリスと条約を結んだものの、彼自身は宰相には戻れませんでした。1796年、マラーターの混乱に伴い、彼はナーナー・ファドナヴィースの支持を得て宰相に就任しましたが、実際の権力はナーナーに握られていました。ある意味で、彼の統治は名ばかりのものでした。

マラーター諸侯との抗争

1800年にナーナーが死去し、その後の権力闘争が激化しました。彼は同年中にホールカル家のヴィトージー・ラーオを処刑しましたが、これがさらなる対立を生む結果になります。1818年までの彼の治世において、プネーの占領や逃亡、イギリスとの連携などが続き、国政はますます混乱しました。

バセイン条約と第二次マラーター戦争

1802年、イギリスと結んだバセイン条約は、彼の権力を著しく制限するものでした。これにより、マラーターの諸侯との対立が深まり、第二次マラーター戦争が勃発します。この戦争で、彼はシンディア家やホールカル家との連携を求めましたが、結局、イギリスに圧倒されます。講和が結ばれ、彼の立場は一層厳しくなりました。

プネー条約の影響

1817年、ガーイクワード家との争いが激化し、その間に使節が殺害される事件が発生しました。この事件を受けて、バージー・ラーオはプネー条約を余儀なくされました。この条約により、マラーター同盟としての自律性は完全に失われ、イギリスの直接的な管理下に置かれました。

第三次マラーター戦争と王国の滅亡

バージー・ラーオは最終的にイギリスとの戦争を決意し、第三次マラーター戦争が始まります。その後、さまざまな戦いが続いた結果、彼の軍も次第に力を失い、1818年1月にはコーレーガーオンで敗北しました。これにより、マラーター同盟は崩壊し、彼は名目上の宰相であった意味を失いました。

亡命後の生活

戦争の終結後、バージー・ラーオはカーンプル近郊のビトゥールに追放されましたが、そこで年80万ルピーの年金を与えられました。彼は年金生活を送りながら、ヒンドゥー教に帰依する生活を選びました。それでも、イギリスに味方したことを後悔する気持ちも抱えていたと言われています。

死とその後の影響

彼は1851年1月28日にビトゥールで尽きました。彼の養子ナーナー・サーヒブは年金の相続を否定され、これがインド大反乱の一因とも言われています。バージー・ラーオ2世の波乱に満ちた生涯は、マラーター王国の歴史における重要な一章を成し遂げました。

彼の治世は、単なる政治や戦争にとどまらず、約束された近代化と伝統との葛藤、また国家と藩王国との関係を考えさせるものでもあります。

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