バックレイ級護衛駆逐艦

バックレイ級護衛駆逐艦

バックレイ級護衛駆逐艦（Buckley-class destroyer escorts）は、第二次世界大戦中期にアメリカ海軍によって建造された護衛駆逐艦の艦級です。主機方式はターボ・エレクトリック型（TE型）と呼ばれ、1943年から運用が始まりました。この艦級は、太平洋および大西洋での船団護衛や索敵哨戒任務に従事しましたが、戦後は全ての艦が退役し、除籍されました。また、「バックレイ」という艦名は、海軍の艦長であるジョン・D・バックレイに由来しています。

設計の特徴

バックレイ級の設計は、先に登場したエヴァーツ級（GMT型）を基にしていますが、船体が5メートル延長され、ターボ・エレクトリック方式の主機が搭載されています。エヴァーツ級ではディーゼル・エレクトリック方式が用いられていましたが、ディーゼルエンジンが他の艦艇への供給に優先されたため、計画された速力に比べ低下する事態が発生しました。それに伴い、ターボ・エレクトリック方式が選ばれた結果、大出力の発揮が可能になりました。

この艦級には商船用ボイラーをさらに改良したD形2胴型過熱器付き水管ボイラーが搭載されており、発生する蒸気は圧力435 lbf/in²（約30.6 kgf/cm²）、温度399℃に達しました。蒸気タービンは単胴型で、速度複式段落1段と衝動段落9段を組み合わせた設計が採用されており、回転数は5,600rpm、出力はおよそ6,750馬力に達します。この構造によって、艦の抗堪性が向上し、配備時のその外見的特徴も形成されました。

装備と武装

バックレイ級は、エヴァーツ級の兵器を引き継ぎつつ、延長された船体を活かして長魚雷発射管を搭載しました。主砲には50口径3インチ緩射砲を採用し、艦首甲板及び艦尾甲板にそれぞれ1基ずつ、前部甲板室上に1基の計3門が設置されています。高角機銃は、初めは28mmの4連装機銃が設置されましたが、その後40mmの連装機銃に変更され、より強力な対空能力が確保されました。

射撃指揮装置は艦橋上に主方位盤と副方位盤が配置されており、当初はMk.51が使用されていましたが、後に測距レーダーを備えたMk.52などに更新されることが一般的です。加えて、対潜兵器としては、艦尾に爆雷投下軌条と爆雷投射機が設置されており、艦首甲板には対潜迫撃砲のヘッジホッグも装填されていました。これにより、対潜火力の強化が図られました。

配備状況

本艦級は計画通りに154隻が建造され、護衛駆逐艦の中でも特に多く建造された艦級です。そのうちの46隻はイギリス海軍に貸与され、その間に設計が変更された艦もあるなど、国際的にも広く運用されました。具体的には、アメリカ海軍を始めとして、イギリス、メキシコ、チリ、コロンビア、エクアドル、台湾、韓国、フィリピンなどの海軍にも配備されています。

映画での登場

この艦級は映画『眼下の敵』において、架空の艦「DE-181 ヘインズ」が登場します。南大西洋にてUボートと接触し、壮絶な戦闘を繰り広げる姿が描かれ、多くのシーンには実際の同型艦「DE-634 ホワイトハースト」が使用されています。この映画は実際の海軍の協力を得て制作されており、艦の内部や操作シーンなどが忠実に再現されています。

バックレイ級護衛駆逐艦は、その能力と役割を通じて、戦争の歴史の中で重要な役割を果たした艦級と言えるでしょう。

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