バック・チャット

クイーンの挑戦と摩擦が生んだ「バック・チャット」

1982年、クイーンはアルバム『ホット・スペース』を発表しました。その収録曲の一つである「バック・チャット」は、ジョン・ディーコンが作曲を手掛けた楽曲です。

この曲は、従来のクイーンの音楽性とは異なる、ファンクの要素を強く取り入れたものでした。ディーコンは、自身の曲からロックの要素を排除するような妥協的な方法を選択。しかし、この大胆な試みは、バンド内に摩擦を生じさせました。

特にブライアン・メイは、ファンクの中にわずかながらでもロックの要素を残すことを主張しました。激しい議論の末、最終的に「バック・チャット」にはギターソロが加えられることになりました。このギターソロは、楽曲にロックのエッセンスを注入し、ファンクとロックの融合を象徴する存在となりました。

「バック・チャット」は、全英シングルチャートで40位を記録。また、ホット・スペース・ツアーでは、ロックのアレンジを加えてテンポを速めたバージョンで演奏されました。ライブパフォーマンスでは、この曲の持つグルーヴ感がより強調され、観客を熱狂させました。

タイトルに込められた意味

「バック・チャット (Back Chat)」というタイトルは、英語のイディオムであり、「生意気で厚かましい、特に高慢な返事」という意味を持っています。このタイトルは、楽曲の持つ反抗的な雰囲気と、当時のバンド内の緊張感を反映しているのかもしれません。

批評家からの評価

ローリング・ストーン誌のアルバムレビューで、批評家のジョン・ミルワードは、この曲を「氷のダンスフロアのようになめらかなギタートラックのあるホットなロック・ファンクの曲」と評しました。この評価は、「バック・チャット」の独特な音楽性を的確に捉えていると言えるでしょう。

プロモーションビデオ

「バック・チャット」のプロモーションビデオは、メンバーが工場のような場所でパフォーマンスをする様子が描かれています。このビデオは、楽曲の持つ工業的な雰囲気と、バンドの演奏シーンを効果的に融合させています。

メンバーの担当

この楽曲でのメンバーの担当は以下の通りです。

フレディ・マーキュリー：リードボーカル、コーラス
ブライアン・メイ：リードギター
ロジャー・テイラー：電子ドラム
ジョン・ディーコン：ベースギター、リズムギター、シンセサイザー、ドラムマシン

シングル収録曲

「バック・チャット」は、7インチシングルと12インチシングルでリリースされました。収録曲は以下の通りです。

7インチシングル

イギリス盤・アメリカ盤
1. バック・チャット (Back Chat) (Deacon)
2. ステイング・パワー (Staying Power) (Mercury)
日本盤
1. バック・チャット (Back Chat) (Deacon)
2. ラス・パラブラス・デ・アモール (愛の言葉) (Las Palabras De Amor (The Words of Love)) (May)

12インチシングル

* イギリス盤
1. バック・チャット (リミックス) (Back Chat (Re-Mix)) (Deacon)
2. ステイング・パワー (Staying Power) (Mercury)

「バック・チャット」は、クイーンの音楽的探求心と、バンド内の葛藤が生んだ、挑戦的な一曲と言えるでしょう。ファンクとロックの融合を試み、新たなサウンドを追求したこの楽曲は、クイーンの音楽史において重要な位置を占めています。

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