バディ・デフランコ

バディ・デフランコ：クラリネットの巨匠、その生涯と音楽

バディ・デフランコ（Buddy DeFranco, 1923年2月17日 - 2014年12月24日）は、アメリカ合衆国ニュージャージー州カムデン出身の、ジャズ・クラリネットおよびバスクラリネット奏者として名を馳せました。

生い立ちと音楽への目覚め

ニュージャージー州で生まれたデフランコは、サウス・フィラデルフィアで幼少期を過ごしました。9歳でクラリネットを手にし、わずか5年後には全国規模のトミー・ドーシー・スウィング・コンテストで優勝するという早熟の才能を発揮しました。彼の音楽キャリアは、アーティ・ショウやベニー・グッドマンといったクラリネット奏者が率いるスウィング・ミュージックやビッグバンドが衰退していく時期と重なります。

ビバップ・クラリネット奏者としての確立

多くのジャズ・クラリネット奏者が時代の変化に対応できなかった中で、デフランコはクラリネットに専念し続け、数少ないビバップ・クラリネット奏者の一人として独自の地位を確立しました。その卓越した技術と革新的な音楽性は、ジャズ界に新たな風を吹き込みました。

多彩な音楽活動

1950年には、カウント・ベイシーのセプテットで1年間活動。その後、1950年代初頭には、ピアニストのソニー・クラークやギタリストのタル・ファーロウなど、才能あるミュージシャンたちと小さなコンボを率い、MGM、Norgran、Verveといった名門レーベルで数々のレコーディングを行いました。特に、ノーマン・グランツが所有していたNorgranとVerveでの録音は、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占めています。

1960年から1964年にかけては、アコーディオン奏者のトミー・グミナとの共同リーダーとして、革新的なカルテット・アルバムを4枚リリースし、新たな音楽の可能性を追求しました。

1966年から1974年までの間は、グレン・ミラー・オーケストラのバンドリーダーを務め、「世界的に有名なグレン・ミラー・オーケストラ・バディ・デフランコ監督」として世界各地で演奏活動を展開しました。

ジーン・クルーパ、アート・ブレイキー、トミー・ドーシー、カウント・ベイシー、チャーリー・バーネット、アート・テイタム、オスカー・ピーターソン、レニー・トリスターノ、ドド・マーマローザ、テリー・ギブス、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィス、エディ・ダニエルズ、プッテ・ウィックマン、ビリー・ホリデイなど、数多くのジャズ界の巨匠たちと共演し、リーダーとしても数十枚のアルバムをリリースするなど、その音楽活動は多岐にわたりました。

受賞歴と晩年

デフランコは、『ダウン・ビート』誌から20個、『メトロノーム』誌から9つ、そして16個のプレイボーイ・オール・スターズ賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝きました。

2014年12月24日、フロリダ州パナマシティの病院で91歳で逝去。彼の音楽は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

ディスコグラフィー（一部）

『オダリスク』 - The Progressive Mr. DeFranco (1954年)
『プリティ・ムーズ』 - Pretty Moods (1954年)
『枯葉』 - The Artistry of Buddy DeFranco (1954年)
『プレイ・ガーシュウィン』 - Buddy DeFranco and Oscar Peterson Play George Gershwin (1954年) ※with オスカー・ピーターソン
『風と共に去りぬ』 - Buddy DeFranco (1956年)
『アート・テイタム〜バディ・デフランコ・クヮルテット』 - The Art Tatum Buddy DeFranco Quartet (1958年)
『バディ・デフランコ&オスカー・ピーターソン・カルテット』 - Buddy DeFranco and the Oscar Peterson Quartet (1958年)
『ライヴ・イン・シカゴ』 - Chicago Fire (1987年) ※with テリー・ギブス

バディ・デフランコの音楽は、クラリネットの可能性を追求し、ジャズの歴史に大きな足跡を残しました。彼の演奏は、これからも多くの音楽ファンを魅了し続けることでしょう。

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