バハードゥル・シャー (グジャラート・スルターン朝)

クトゥブッディーン・バハードゥル・シャーの生涯と治世

クトゥブッディーン・バハードゥル・シャー（生年不詳 - 1537年2月14日）は、グジャラート・スルターン朝の君主として1526年から1537年まで在位しました。彼の治世は、王室内の権力争いと外部からの脅威に満ちたものであり、特に彼の人生は数々の波乱に満ちたものでした。

幼少期と家族背景

バハードゥル・シャーは、グジャラート・スルターン朝の王、ムザッファル・シャー2世の息子として生まれ、若いころから戦いと逃亡の生活を強いられました。彼の父は、占星術師から「長男に王国が移る」と告げられたことから、バハードゥル・シャーに悪意を抱くようになったとされています。そのため、彼は放浪者としての生活を余儀なくされ、ヒンドゥースタンを転々としました。

王位への帰還

1526年、父ムザッファル・シャー2世の死去により、バハードゥル・シャーは王位を取り戻すチャンスを迎えました。彼の弟シカンダル・シャーが権力を握っていましたが、この後間もなく彼も亡くなり、弟のマフムード・シャー2世が君主となります。バハードゥル・シャーは、秘かにアフマダーバードに戻り、自らの正体を明かすことを考えますが、継母からの警告により危険を感じ、他のスルターン朝の君主に援助を求めることになります。

王国を取り戻す戦い

バハードゥル・シャーは、マールワー・スルターン朝およびメーワール王国の支援を受け、1530年に弟を打倒し即位を果たします。しかし、彼はその後、支援してくれた国々に対し裏切りを働き、1531年にはマールワー・スルターン朝を滅ぼします。この結果、グジャラート・スルターン朝は中央インドまでその勢力を拡大しました。

メーワール王国との対立

1534年にはメーワール王国の首都チットールガルを包囲し占拠しましたが、サングラーム・シングの未亡人がムガル帝国の皇帝フマーユーンに支援を依頼していたため、バハードゥル・シャーは危機に直面します。1535年には、フマーユーンが遠征を行い、彼は敗北を喫します。マーンドゥーやチャーンパネールを失った彼は、さらに外部からの脅威に直面します。

ポルトガルとの緊張

同年、ポルトガルがディーウ島を占拠し、バハードゥル・シャーは王国の存続を賭けた交渉を強いられることになります。翌年にはムガル帝国の軍勢をグジャラートから押し返すことに成功しますが、徐々に王国の衰退の兆しが見え始めました。

最期とその影響

1537年2月14日、バハードゥル・シャーはポルトガルとの会見の場で暗殺されましたが、ポルトガル側はその事実を否認し、彼の死は長年にわたり溺死とされてきました。この事件は、グジャラート・スルターン朝に対するムガル帝国の圧迫や、ポルトガルによる植民地獲得の野望など、非常に複雑な背景を持つものでした。

死後の影響

バハードゥル・シャーの死後、1538年には彼がオスマン帝国のスレイマン1世に要請していた艦隊が到着しますが、先の戦いでディーウを攻略することは叶いませんでした。しかし、この艦隊はアデンを獲得し、ポルトガルの紅海への進出を牽制することとなります。

バハードゥル・シャーの治世は、インドにおける外部勢力との闘争や、地域の覇権争いの一端を示す貴重な事例といえるでしょう。彼の生涯は、その後のインドの歴史に深い影響を与えることとなりました。

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