バラの聖母 (パルミジャニーノ)

『バラの聖母』（伊: Madonna della Rosa）は、イタリアの画家パルミジャニーノが1530年に制作した油彩画です。現在、ドイツのドレスデンにあるアルテ・マイスター絵画館に所蔵されています。

歴史

この作品は、当初ピエトロ・アレティーノのために描かれましたが、神聖ローマ皇帝カール5世の戴冠式のためにボローニャに滞在していた教皇クレメンス7世に贈られました。制作は1530年3月頃に完成したと考えられています。この時期、パルミジャニーノは、後にサン・ペトロニオ教会サン・マウリツィオ礼拝堂のフレスコ画（カール5世の依頼）を制作するために、顔料を購入するためヴェネツィアへ旅立ちました。現在、チャッツワース・ハウスのデボンシャー・コレクションには、幼子イエスが足を蹴るポーズの素描が残されています。

しかし、パルミジャニーノがボローニャを離れたため、作品は教皇ではなく、ディオニージとバルトロメオ・ザーニ父子の手に渡りました。1560年には、ピエトロ・ラーモがバルトロメオの家で本作を目撃し、「球体に指を載せた赤子を抱く聖母」と記述しています。1566年には、作品はボローニャ近郊のヴィラ・ザーニに置かれ、ドーニがそのコレクションの一部として本作を鑑賞しました。

この作品は、カヴァッツォーニによって現在の名称が与えられました。当時から高値で取引されており、ドーニは「大きなカップ一杯分のスクード（当時の貨幣）でも、その価値は測れないだろう」と述べています。ザーニ家は、ヴィンチェンツォ1世・ゴンザーガやファルネーゼ枢機卿など、40スクードを提示した買い手を幾度も拒否しました。ヴァザーリの時代までに、50点もの複製が作られ、それらはオリジナルの所有者によって依頼されたものです。そのうちの一つは、現在英国のロイヤル・コレクションにあります。

1752年、ついにパオロ・ザーニ伯爵が、この作品をザクセンのアウグスト3世に1350ゼッキーノで売却しました。これにより、作品は現在の所蔵先であるドレスデンのアルテ・マイスター絵画館へと移りました。

『バラの聖母』は、その美しい色彩、繊細な筆致、そして聖母マリアと幼子イエスの神聖な姿で、鑑賞者を魅了し続けています。パルミジャニーノの傑作として、ルネサンス美術史において重要な位置を占めています。

もう一度検索