バリバリノキ

バリバリノキ（Actinodaphne acuminata）について

バリバリノキは、クスノキ科カゴノキ属に分類される常緑高木です。学名は Actinodaphne acuminata といい、シノニムとして Litsea acuminata があります。ハマビワ属（Litsea）に分類されることもあります。別名として、アオカゴノキ、ナントウクロモジ、アオガシとも呼ばれています。

名称の由来

和名の「バリバリノキ」の由来は定かではありませんが、一説には、枝や葉に油分が多く、燃やすとバリバリと音を立ててよく燃えることに由来すると言われています。また、植物学者の牧野富太郎は、「硬質の葉が触れ合う時の音に基づくのであろう」と述べています。別名のアオカゴノキは、1890年に牧野富太郎によって命名されました。中国植物名は、長葉黃肉楠（別名：長葉木薑子）です。

分布と生育地

バリバリノキは、日本の房総半島以西の本州、四国、九州、沖縄（南西諸島）に分布しています。海外では、台湾にも分布しています。岡山県には分布していません。主に低地の林内や、暖地の山地の常緑広葉樹林に生育し、斜面中部などの適度に湿った場所や伐採跡によく見られます。植物群落としては、ヤブツバキクラスに属します。

形態と生態

バリバリノキは、常緑広葉樹の高木で、成長が早く、樹高は5〜15メートルに達します。幹は太く滑らかで、樹皮は灰褐色で皮目があります。一年枝は緑色で、やや垂れ下がります。枝は太く、まばらに分枝します。新芽は枝先にツメ状になってつきます。

葉は柄があり、枝先に集まって互生していますが、輪生しているようにも見えます。日光が当たる葉はほぼ水平に展開しますが、古い葉は下向きに垂れ下がることが多いです。葉身は細長く、長さ8〜25cm、幅10〜15mmの披針形です。葉の表面は無毛で緑色、薄い革質で光沢があり、裏面は白みを帯びてわずかに毛があり、葉脈が目立ちます。葉の縁は全縁で鋸歯はなく、やや波打っています。

開花期は夏（8月頃）で、雌雄異株です。葉の付け根に総苞片に包まれた小球状の花序がつき、その中に淡黄色の小さな6弁花が数個ずつ密集して咲きます。雄株の雄花には、9本の雄しべがあり、先端に黄色い葯がつきます。雌株の雌花には、退化した雄しべ（仮雄ずい）が9本あり、花被から伸び出した柱頭は帽子状で紫黒色をしています。雄しべと仮雄ずいともに、内側の3本は下部両側に腺体があります。

雌株の枝先につく果実は漿果（液果）で、長さ約1.5cmの長楕円形をしており、翌年の6月に黒紫色に熟します。材は、建材や家具材、器具材として利用されます。

その他の情報

材は堅く、割れやすい性質があります。
関連する植物として、ホソバタブが挙げられます。

参考文献

平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、203頁。ISBN 4-522-21557-6。
掘田満ほか 編『世界有用植物事典』平凡社、1989年8月25日。ISBN 4-582-11505-5。
宮脇昭ほか 編『日本植生便覧 改訂新版』至文堂、1994年10月10日。ISBN 9784784301478。
邑田仁・米倉浩司 編『APG原色牧野植物大図鑑I 〔ソテツ科～バラ科〕』北隆館、2012年4月25日。ISBN 978-4-8326-0973-0。

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