バルキヤールク

バルキヤールク：セルジューク朝の内紛に翻弄されたスルタン

バルキヤールク（1081年 - 1104年12月22日）は、セルジューク朝の第5代スルタンとして、1092年から1104年まで在位しました。彼の治世は、セルジューク朝が内紛によって大きく揺れ動いた時代であり、その短い生涯は、帝国の衰退を象徴する出来事となりました。

生い立ちと即位

バルキヤールクは、第3代スルタンであるマリク・シャーの長男として生まれました。母はマリク・シャーの従姉妹であるズバイダです。1092年11月、父マリク・シャーが死去した時、バルキヤールクは息子の中で最年長でしたが、異母弟のマフムード1世の生母であるテルケン・ハトゥンの画策によって、わずか4歳のマフムード1世がスルタンに擁立されてしまいます。

この動きに対し、バルキヤールクは、父の宰相であったニザームルムルクの支持者たちを味方につけ、即位を主張しました。これにより、セルジューク朝は内紛状態に突入します。しかし、1094年11月、マフムード1世が早世したため、バルキヤールクは単独のスルタンとして即位しました。

叔父トゥトゥシュとの戦い

スルタンとなったバルキヤールクでしたが、今度は叔父であるトゥトゥシュ（マリク・シャーの弟でシリア・セルジューク朝の祖）との間で、イランの覇権をめぐり争うことになります。1095年、バルキヤールクはトゥトゥシュを破り、これを敗死させますが、これで争いが終わるわけではありませんでした。

異母弟ムハンマド・タパルとの対立

1100年、今度は異母弟であるムハンマド・タパルとの間で、スルタン位をめぐって激しい対立が始まります。二人は5回も合戦を繰り返しますが、最終的に1104年1月に和約を結びます。この和約で、バルキヤールクはイランの中央部を、ムハンマドはアゼルバイジャンやイラク北部、アルメニアなどをそれぞれ領有することとなり、スルタンの権力は大きく弱体化しました。

死とその後

連年の内紛のためか、バルキヤールクは和約から11ヶ月後、25歳という若さで病死します。彼の死後、息子のマリク・シャー2世もすぐに没したため、スルタン位はムハンマド・タパルが継承することになりました。バルキヤールクの生涯は、セルジューク朝が内紛によって大きく衰退していく過程を象徴するものでした。彼の短い治世は、帝国の分裂と弱体化を招き、セルジューク朝の歴史において重要な転換点となったと言えるでしょう。

脚注

* 井谷, 鋼造 (2002), “トルコ民族の活動と西アジアのモンゴル支配時代”, in 永田, 雄三, 西アジア史2 イラン・トルコ, 新版世界各国史, 9, 山川出版社, ISBN 4634413906

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