バルバロス・ハイレッディン

バルバロス・ハイレッディン (Hayreddin Barbarossa)

バルバロス・ハイレッディン（アラビア語: خير الدين بربروس‎、Khayr ad-Din Barbarus）は、1475年に生まれ、1546年に亡くなるまで、北アフリカの海域を掌握した海賊であり、後のオスマン帝国の高官であり提督でした。彼は「バルバロス」という名前で広く知られており、その名は「赤髭」を意味します。また、彼の名はヨーロッパではハイレッディン・バルバロッサ（Hayreddin Barbarossa）として広まりました。特に1538年のプレヴェザの海戦での勝利により、その名声は更に高まりました。

青年期と兄弟との活動

バルバロスは、ギリシャのレスボス島出身で、父親ヤークープ・アーガーと母親との間に生まれました。父はスィパーヒーで、母は正教徒の聖職者の寡婦でした。彼には兄のウルージをはじめ、4人の兄弟がいて、全員が海上での活動を選びました。特にウルージとは連携し、私掠船を用いロドス騎士団に対抗していました。ウルージ兄弟はジェルバ島を拠点に西地中海での私掠活動を行い、教皇の船団やイタリア半島の各港を襲撃しました。こうした活動を通じて、バルバロスは「Baba Aruj」（父のウルージ）と呼ばれるようになり、これが後に彼の別名「バルバロッサ」に繋がったとされています。

チュニジアとアルジェでの影響力拡大

1504年、兄弟はチュニジアのハフス朝からラ・グレット港の使用許可を得て、私掠船活動を行いました。彼らは戦利品の一部をスルタンに納めることで、この権利を手に入れました。その後も数々の戦闘を経て、アルジェを攻撃し、ついにはその支配を確立しました。兄のウルージが命を落とした後、ハイレッディンがその地位を引き継ぎました。

オスマン帝国との関係と海戦

1519年、ハイレッディンはオスマン帝国スルタン、セリム1世から任命を受け、アルジェの知事として統治を始めました。彼はイベリア半島のムスリムを北アフリカに運ぶ活動を続けながら、オスマン帝国の海軍における重要な役割を果たしました。1538年、彼はアンドレア・ドーリアを率いる連合軍をプレヴェザの海戦で破り、オスマン帝国の地中海支配を次の33年間保証することとなりました。

その後の活動と退任

バルバロスは、1538年以降も様々な海戦や襲撃を行い、特にスペインやイタリア沿岸を狙いました。彼の名は恐れられ、尊重される存在となりましたが、1545年には引退を決意し、彼の死後もトルコ人の船員たちは彼に敬意を表しました。彼の回顧録は「Gazavat-ı Hayreddin Paşa」として知られ、イスタンブルのトプカプ宮殿に保存されています。

彼は1546年にビュユクデレで亡くなり、ベシクタシュ地区の霊廟に埋葬されました。彼の業績は今もなお、多くの人々に記憶されています。

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