バンクス諸島

バンクス諸島

バンクス諸島（英語：Banks Islands、ビスラマ語：Bankis）は、南太平洋に位置するバヌアツ共和国の最北部を占める群島です。この群島は、北西に隣接するトーレス諸島と共に、国内最北の行政区分であるトルバ州を形成しています。マエウォ島の北方およそ40キロメートル沖合に位置し、バヌアツの主要な13島の一つであるガウア島やバヌア・ラバ島などを含む複数の島々から構成されています。群島全体の総面積は約780平方キロメートルに及び、2009年時点での人口は8,533人でした。

地理

バンクス諸島は、全体的に険しい地形と火山活動が特徴です。

最も広大な島はガウア島（かつてはサンタ・マリア島と呼ばれていました）です。島の地形は起伏に富み、中央には標高797メートルの活火山であるガラット山が聳えています。その火口に広がる淡水湖、レタス湖は、バヌアツ国内で最大の湖として知られています。ガウア島よりわずかに小さいバヌア・ラバ島は、最高地点が946メートルと、バンクス諸島で最も標高が高い島です。この島にも、スレタマテ山（Süretimiat、標高921メートル）という活火山が存在します。トルバ州の州都であるソラは、このバヌア・ラバ島に位置しています。島の東岸沖には、レヴェンガ島とクワケア島という二つの小さな島が浮かんでいます。群島で三番目に大きいウレパラパラ島（Paraparaとも呼ばれます）は、古い火山錐の地形をしており、東側の海岸線が海水に深く抉り取られて、ダイバーズ湾と呼ばれる独特の地形を作り出しています。

これらの主要な島々の東側には、多数の小さな島々が連なっています。ウレパラパラ島の北東約50キロメートルに位置するベット・タグデ島（Vot TandeまたはVot Ganai）は、群島の最北端にあたり、最後に噴火してから約350万年が経過した死火山です。ロワ諸島（リーフ諸島）は、非常に小さくて平坦なサンゴ礁からなる島々です。東部の島の中では最大かつ最も標高が高いモタ・ラバ島は、標高411メートルに達します。その南沖合にはラ島が位置しており、ラ島は高いサンゴ礁に囲まれており、干潮時にはモタ・ラバ島と歩いて行き来することが可能です。これらの島々に加え、列島南東部のモタ島、メリグ島、メレラバ島の三島を合わせて、バンクス諸島が形成されています。

歴史

バンクス諸島は、ヨーロッパの探検家たちが初めて足跡を残したバヌアツの国土として特筆されます。1606年4月25日から29日にかけて、ポルトガル出身の探検家ペドロ・フェルナンデス・デ・キロスに率いられたスペインの探検隊が、メレラバ島を通過した後、エスピリトゥサント島へ向かう途中でガウア島に停泊し、一時的に拠点を設けました。この時、スペイン隊はメレラバ島を「サン・マルコス」、モタ・ラバ島を「ラグリマス・デ・サン・ペドロ（聖ペドロの涙）」、バヌア・ラバ島を「ポルタル・デ・ベレン（ベツレヘムの厩）」、ガウア島を「サンタ・マリア」と命名し、海図に記録しました。その後の1774年にジェームズ・クック船長がバヌアツを探検した際には、これらの島々を見落としたとされています。バンクス諸島を最初に詳細に探検したのは英国海軍のウィリアム・ブライです。彼は、そのパトロンであった著名な植物学者ジョゼフ・バンクス卿に敬意を表し、これらの島々に「バンクス諸島」と命名しました。後にこの地域の海図を作成したのは航海士のマシュー・フリンダースです。また、バヌア・ラバ島については、1859年にニュージーランドのジョージ・セルウィン司教によって改めて探検されています。

言語

バンクス諸島の住民は、実に15種類もの異なる言語を話しています。これらの言語の中には、話者が数百人にも満たない、あるいは数人の話者しか残っていないなど、消滅の危機に瀕しているものが少なくありません。これらの多様な言語は、すべてオーストロネシア語族の大洋州諸語に属しています。

経済

バンクス諸島の経済活動の中心は、古くからの自給農業です。しかしながら、コプラ、コーヒー（特にガウア島）、カカオといった換金作物が輸出向けに栽培されています。バヌア・ラバ島のスレタマテ山には硫黄の鉱床があり、過去にはフランスの企業によって採掘が行われていた時期もありました。近年では、航空便が比較的容易に利用できる島々を中心に、観光業の重要性が高まってきています。

交通

群島内のモタラバ島、バヌア・ラバ島、ガウア島にはそれぞれ空港が整備されており、バヌアツ航空による国内線が週に数便運航しています。船便は主に輸出入のために寄港しますが、旅客として乗船することも可能です。

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