バンクーバー水族館

バンクーバー水族館



カナダ西海岸の美しい都市、バンクーバーにあるバンクーバー水族館は、広大なスタンレーパーク内に広がる人気の観光施設です。単なる海の生き物の展示施設にとどまらず、海洋研究、環境保全、そして傷ついた野生生物の保護活動における重要な拠点としての役割も果たしています。カナダ国内で公式に開館した最初の公立水族館であり、その規模は国内で最大、北米全体でも有数の大きさを誇ります。水族館の正面入り口には、カナダの先住民族アーティストであるビル・リード氏が手がけた、オルカをモチーフにしたブロンズ彫刻が設置されており、これは先住民族と海の生き物、特にオルカとの深いつながりを象徴しています。

歴史



バンクーバー水族館の歴史は、1950年に「バンクーバー水族館協会」が設立されたことに始まります。これは、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の水産海洋学の専門家であったマリー・ニューマン氏、カール・リーツェ氏、ウィルバート・クレメンス氏らによって創設されました。その後、多くの投資家やバンクーバー市、ブリティッシュコロンビア州カナダ連邦政府といった公的機関からの支援を得て、1956年6月15日に念願の開館を果たしました。

開館当初から、バンクーバー水族館カナダにおける水族館のパイオニアとして、数々の「初」を成し遂げてきました。特に、1964年には世界で初めてオルカの飼育・展示に成功し、大きな注目を集めました。これ以降、オルカに加え、ベルーガやイッカク、様々な種類のイルカなど、大型の海獣類の飼育においても長い経験と実績を積み重ねています。また、日本の江の島水族館とは長年にわたり良好な関係を築いており、1985年にはラッコを江の島水族館に譲り渡すという交流の歴史もあります。水族館は常に進化を続けており、2014年には新たな施設のオープンが予定されていました。

施設と主な展示エリア



バンクーバー水族館の敷地面積は約9,000平方メートルに及び、100を超える多様な水槽が設置されています。これらの水槽で使用されている水の総量は約9,500トンにもなります。館内には、様々なテーマに基づいた展示エリアがあり、世界の多様な水辺の環境とそこに暮らす生き物たちを紹介しています。

主な展示エリアは以下の通りです。

パシフィック・カナダ・パビリオン
水族館の中央に位置し、容量260トンの大型水槽が目を引きます。カナダ西海岸、特にジョージア海峡に生息する代表的な魚類を中心に展示しています。
カナダ・アークティック
カナダ北極圏の冷たい海の世界を再現したエリアで、白い体を持つベルーガ(シロイルカ)が中心的な存在です。
ペンギン・ポイント
南半球に生息するアフリカペンギンの愛らしい姿を観察できるエリアです。
ザ・ワイルド・コースト
屋外に設けられた広々としたエリアで、カナダの沿岸部で見られる多様な海獣類が飼育されています。カマイルカラッコネズミイルカゼニガタアザラシ、さらにはトドキタオットセイといった大型の鰭脚類(ききゃくるい)の姿を見ることができます。一部には生き物に触れることができるタッチプールなども設置されています。
トレジャー・オフ・ザ・BCコースト
ブリティッシュコロンビア州の沿岸部に広がる豊かな生態系に焦点を当てた展示エリアです。この地域の多種多様な海の生き物や環境について学ぶことができます。
トロピック・ゾーン
南国の暖かく色鮮やかな海の世界が広がります。熱帯に生息する様々な魚類や、サメの一種であるツマグロなどが展示されています。
グラハム・アマゾン・ギャラリー
南米アマゾンの熱帯雨林環境を再現したユニークなエリアです。ここでは水中生物だけでなく、熱帯雨林に生息する鳥類や小型哺乳類なども展示されており、多様な生態系を体験できます。
フロッグ・フォエバー?ギャラリー
世界中から集められた様々な種類のカエルに特化した展示エリアです。両生類の多様性や現状について学ぶことができます。
カナコード・フィナンシャル・エクスプロレイション
水族館が取り組んでいる海洋研究や保全活動のプロジェクトを紹介するエリアです。訪問者はこれらの活動について理解を深めることができます。また、この場所には臨場感あふれる4-Dシアターも併設されています。

研究と保全活動



バンクーバー水族館は、その教育・展示機能に加え、活発な研究活動と海洋環境および生物の保全活動を行っています。カナコード・フィナンシャル・エクスプロレイションのエリアでは、実際に水族館のスタッフや研究者が取り組んでいるプロジェクトの成果や、野生生物の救護・リハビリテーションの様子などが紹介されており、来館者に環境問題への関心を促しています。

関連項目



カナダ・リプリー水族館
マリンランド (カナダ)
ケベック水族館
江の島水族館

外部リンク



公式ウェブサイト(英語)
Vancouver Aquarium - YouTubeチャンネル

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