バンク駅・モニュメント駅

ロンドンの心臓部、バンク・モニュメント複合駅：歴史と複雑な地下構造

ロンドンの中心部、シティ・オブ・ロンドンに位置するバンク駅とモニュメント駅は、一見すると別々の駅のように見えますが、実は地下通路で繋がる一体型の複合駅です。公式には「バンク・モニュメント複合駅」として案内されていますが、駅入口や路線図にはそれぞれの駅名が残り、その歴史を物語っています。

多路線乗り入れと混雑

バンク駅には、ロンドン地下鉄のセントラル線、ノーザン線、ウォータールー＆シティー線、そしてドックランズ・ライト・レイルウェイが乗り入れます。一方、モニュメント駅にはサークル線とディストリクト線が接続。複数の路線が利用できる利便性の高さから、ロンドン地下鉄ネットワークの中でも7番目に混雑する駅となっています。駅名は、それぞれイングランド銀行とロンドン大火記念塔の近接性に由来しています。また、この駅はトラベルカードゾーン1に含まれています。

歴史：段階的な拡張と幾多の困難

それぞれの駅の開業は異なる時期に遡ります。モニュメント駅は、1884年にインナー・サークルの開業（現在のサークル線）とともに誕生しました。当初はメトロポリタン鉄道とメトロポリタン・ディストリクト鉄道が共同で運営していましたが、資金難や路線間の競争など、建設には様々な困難がありました。完成までには、シティの資産家による資金提供や、鉄道会社間の買収といった出来事もありました。

1898年には、ウォータールー＆シティー線が新たにバンク駅に乗り入れました。この路線は当初「シティー駅」と呼ばれ、ウォータールー駅からシティを結ぶ重要な役割を担いました。特徴的なのは、プラットホームへ続く急勾配のスロープに設置された動く歩道です。また、この駅の広告は、スロープの壁面に描かれた大きな壁画広告として知られています。

1900年には、シティ＆サウスロンドン鉄道（現在のノーザン線）とセントラル・ロンドン鉄道（現在のセントラル線）がバンク駅に乗り入れました。両路線とも、シティ中心部の地下建設という困難な工事でした。特にセントラル線は、イングランド銀行の金庫を避ける必要があったため、急カーブを描くトンネルとなりました。

これらの路線は近接しており、乗客の利便性向上のため、比較的早い段階で改札口が相互接続されました。しかし、地下深くにあるプラットホーム間の直通通路は、エスカレーターの導入（1920年代）を待つ必要がありました。

1933年には、バンク駅とモニュメント駅が動く歩道で接続され、乗換がよりスムーズになりました。この頃から両駅は一体として認識されるようになり、駅名も「Bank for Monument」「Monument for Bank」と表記されるようになりました。

第二次世界大戦中には、1941年にドイツ軍の空襲を受け、セントラル線の切符売り場に爆弾が直撃し、多くの犠牲者が出ました。駅は2ヶ月間閉鎖され、大きな被害を受けました。

1991年には、ドックランズ・ライト・レイルウェイ（DLR）がバンク駅に乗り入れました。この際に、新たな通路や連絡線が建設され、乗換の利便性がさらに向上しました。建設中、初期のウォータールー＆シティー線のトンネルシールドの一部が再利用されたのは興味深い点です。

近年では、大規模な防災訓練も実施されています。

駅構造とアクセス

バンク・モニュメント複合駅の構造は複雑で、北から南へ順に、バンク駅の改札、セントラル線ホーム、ウォータールー＆シティー線ホーム、ノーザン線ホーム、DLRホーム、そしてモニュメント駅の改札とサークル線・ディストリクト線ホームが並んでいます。多くの路線が地下深くを走っているため、複雑な地下構造となっています。駅職員の間では、その複雑さから「ザ・ワーム（ミミズ）」という非公式な愛称で呼ばれています。

アクセスは、地下鉄だけでなく、多数のロンドンバス路線も利用可能です。

特記事項

イングランド銀行出口は、地下鉄駅の中で唯一、一級指定建築物に指定されています。

隣の駅

バンク駅とモニュメント駅からは、それぞれ複数の路線で他の駅へアクセスできます。それぞれの路線の接続駅は、路線図や駅構内案内をご確認ください。

写真と資料

駅の歴史や構造を理解する上で、様々な写真や資料が公開されています。これらは、ロンドン交通博物館などのアーカイブやオンライン上で閲覧可能です。これらの資料からは、駅の建設から現在に至るまでの歴史、そして複雑な地下構造を垣間見ることができます。

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