バージニア・ウェード

バージニア・ウェード：イギリステニス界の至宝

バージニア・ウェード（Virginia Wade, 1945年7月10日 - ）は、イギリス・ボーンマス出身の女子テニス選手であり、WTAツアーでシングルス通算55勝を誇ります。彼女は4大大会で女子シングルス3勝、女子ダブルス4勝を獲得し、その輝かしい実績はテニス史に深く刻まれています。

特に、1977年のウィンブルドン女子シングルス優勝は、彼女のキャリアにおける最大のハイライトであり、同選手権大会女子における現時点で最後のイギリス人優勝者として、国民的な英雄となっています。イギリスの人々からは“Our Ginny”（我らのジニー）と呼ばれ、世代を超えて敬愛されています。

プロへの転向とオープン化の波

ウェードは1962年に競技経歴を開始し、1968年に23歳でプロテニス選手に転向しました。1968年は、テニス界にとって大きな転換期であり、4大大会の「オープン化措置」が実施され、プロ選手の出場が解禁された年でした。それまでアマチュア選手に限定されていた4大大会に、プロ選手が出場できるようになったことで、テニス界は新たな時代を迎えました。

オープン化初年度の1968年、ウェードは全米オープンで4大大会初優勝を飾ります。決勝では、当時のトップ選手であったビリー・ジーン・キングを破り、オープン化時代における同大会の最初の優勝者となりました。この勝利は、ウェードのキャリアにおいて重要な意味を持つだけでなく、オープン化されたテニス界の幕開けを象徴する出来事となりました。

グランドスラムでの輝き

1972年の全豪オープンでは、4年ぶりとなる4大大会2勝目を挙げました。決勝で地元オーストラリアのイボンヌ・グーラゴングをストレートで下し、その実力を改めて証明しました。

1973年には、女子ダブルスでマーガレット・コートとペアを組み、ウィンブルドンを除く4大大会女子ダブルス年間3冠を達成しました。ウェードとコートのペアは、1975年全米オープンでも再び優勝し、その圧倒的な強さを見せつけました。ウェードは、グランドスラム大会の女子ダブルスで計4勝を挙げていますが、そのすべてがコートとのペアによるものでした。

ウィンブルドンの栄光

ウェードのテニス人生最大のハイライトは、1977年のウィンブルドン選手権大会でした。準決勝で前年優勝者のクリス・エバートを破り、決勝ではベティ・ストーブと対戦しました。満員の観客で埋め尽くされたセンター・コート、そしてエリザベス2世女王が見守る中、ウェードはストーブに逆転勝利を収め、17度目の挑戦にしてついにウィンブルドン選手権初優勝を果たしました。32歳の誕生日の9日前というタイミングで達成されたこの偉業は、彼女にとって、そしてイギリス国民にとっても忘れられない瞬間となりました。

引退後もテニス界に貢献

1986年に41歳で現役を引退後も、ウェードはテニス界に貢献し続けています。1989年には国際テニス殿堂入りを果たし、その功績が永く称えられています。

バージニア・ウェードは、その卓越した技術と不屈の精神で、テニス史に輝かしい足跡を残しました。彼女のウィンブルドン優勝は、今もなおイギリス人にとって特別な意味を持ち、彼女は国民的英雄として、記憶され続けるでしょう。

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