バース・ラグビー

イングランド南西部、歴史ある都市バースを本拠地とするプロラグビーユニオンクラブ、それがバース・ラグビー（Bath Rugby）です。このクラブは1865年に産声を上げ、イングランド国内はもちろん、欧州においても屈指の強豪としての地位を確立してきました。ホームグラウンドは、市街地の中心部に位置する風光明媚なレクリエーション・グラウンド。

歴史とタイトル

19世紀後半に創設されたバースは、イングランド国内リーグであるプレミアシップにおいて、特に1980年代後半から1990年代にかけて輝かしい時代を築きました。通算6度にわたり国内リーグの頂点に立ち、その圧倒的な強さを見せつけました。具体的には、1988-89シーズンを皮切りに、1990-91、1991-92、1992-93、1993-94と立て続けに優勝し、さらに1995-96シーズンにも栄冠を手にしています。

国内での成功に加え、欧州の舞台でもその力を証明しました。欧州主要クラブによる最高峰の大会、ハイネケンカップ（現在のヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ）においては、1997-98シーズンに優勝を果たし、欧州クラブ王者の称号を獲得しています。これは、バースがイングランド国内だけでなく、広く欧州においてもトップレベルのチームであることを示す大きな功績と言えるでしょう。

クラブの歴史には、日本ラグビー界との繋がりも見られます。例えば、日本代表として活躍したアマナキ・レレィ・マフィ選手が、2016年にバースに在籍し、プレーした経験を持っています。

歴代のスター選手たち

バース・ラグビーは、その長い歴史の中で、数多くの優れた選手を輩出し、また世界中から才能ある選手を受け入れてきました。彼らの中には、各国の代表として国際舞台で輝かしい成績を残した選手が多数含まれています。

イングランド代表からは、後に代表ヘッドコーチを務めることになるスティーブ・ボーズウィック氏（キャップ数57、2007年W杯出場）や、2度のW杯に出場したデビッド・ウィルソン氏（キャップ数44）、ジョージ・フォード選手（キャップ数69、現在はレスター・タイガース所属）、アンソニー・ワトソン選手（キャップ数51、現在はレスター・タイガース所属）などがバースでプレーしました。

ウェールズ代表からは、66キャップを持つポール・ジェームズ氏や、74キャップを持つルーク・チャータリス氏、94キャップを誇るジェイミー・ロバーツ氏（現在はストーマーズ所属）、86キャップのタウルペ・ファレタウ選手（現在はカーディフ所属）など、多くの代表クラスの選手が所属しました。特にジェイミー・ロバーツ氏のキャップ数は際立っています。

スコットランド代表選手も多く在籍しており、デビッド・デントン氏（キャップ数42、2015年W杯出場）やアダム・ヘイスティングス選手（キャップ数20、現在はグラスゴー・ウォリアーズ所属）らがバースで活躍しました。

南アフリカ代表では、W杯に3大会連続出場を果たしたフランソワ・ロウ氏（キャップ数76）が挙げられます。アルゼンチン代表のオラシオ・アグージャ氏（キャップ数63、2度のW杯出場）やルーカス・ノゲラ・パズ選手（キャップ数43）もバースでプレーしました。フィジー代表のニコラ・マタワル選手（キャップ数40、現在はグラスゴー・ウォリアーズ所属）やジョシュ・マタヴェシ選手（キャップ数24、現在は豊田自動織機シャトルズ愛知所属）など、南太平洋諸国の才能もチームに貢献しています。他にも、イタリア代表、オーストラリア代表、トンガ代表、ナミビア代表、ロシア代表など、非常に多岐にわたる国の代表選手がバースのジャージに袖を通しており、その国際性の豊かさがうかがえます。

日本国内のクラブへ移籍した選手も複数おり、レビ・ダグラス選手（浦安D-Rocks）、ジェームス・ウィルソン選手（三菱重工相模原ダイナボアーズ）、ジョシュ・マタヴェシ選手（豊田自動織機シャトルズ愛知）、ピアース・フランシス選手（クリタウォーターガッシュ昭島）などが、バースを経て日本のリーグでも活躍しています。

このように、バース・ラグビーは長い歴史の中で数多くのタイトルを獲得し、また世界中から集まった多様な才能が集う国際色豊かなクラブとして、イングランドラグビーにおいて重要な位置を占めています。同じくイングランドの強豪クラブであるレスター・タイガースとの対戦は「クラッシュ・オブ・ザ・コーズ」と呼ばれ、イングランドラグビー界における伝統的なライバル関係として知られています。

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