バーナビー

カナダ西部のブリティッシュコロンビア州南西部に位置するバーナビーは、メトロバンクーバー広域都市圏を構成する主要な自治体の一つであり、その行政府所在地でもあります。州最大の都市バンクーバーの東側に隣接し、2016年の国勢調査時点では約23万3千人の人口を擁し、ブリティッシュコロンビア州内ではバンクーバー、サレーに次ぐ第3位の人口規模を誇ります。市内には近代的な高層コンドミニアムが数多く建設され、活気ある都市景観を形成しています。

都市の成り立ち

バーナビーは1892年にその基礎が築かれ、100周年を迎えた1992年に市へと昇格しました。都市が誕生してからの最初の30年から40年間は、西側のバンクーバーと南東のニューウエストミンスターという二つの初期の中心都市の中間に位置する土地として発展しました。かつては農業が主要な産業でしたが、1985年に自動運転鉄道であるスカイトレインが開通し、都市内の交通網が整備されたことで、バーナビーの性格は大きく変化しました。スカイトレインによるバンクーバー中心部へのアクセス向上は、ノースバンクーバーやリッチモンドといった他の郊外地域と同様に、バーナビーを住宅都市（ベッドタウン）として急成長させる契機となりました。特にスカイトレインのエキスポ・ライン沿いに位置するメトロタウン駅は、路線全体でも有数の利用者を誇る駅であり、駅周辺は大規模な都市再開発が進められています。州内最大級のショッピングモールである「メトロポリス・アット・メトロタウン」を中心に、多くの高層ビルや商業施設、住宅が集まる、バーナビーの新たな中心地となっています。

地理

バーナビーは北側でバラード入り江、南側でフレーザー川に面しています。市内には多様な地形が見られ、最も標高が高い地点はバーナビー山頂付近で約370メートルです。このバーナビー山には、大規模な教育機関であるサイモンフレーザー大学のメインキャンパスが置かれています。また、市内の中央部にはバーナビー湖やディア湖といった美しい湖があり、これらの水辺の周辺は広大な公園として整備され、市民の憩いの場となっています。市域は西側でバンクーバー市と、南東側でニューウエストミンスター市と、東側でポートムーディ市およびコキットラム市とそれぞれ隣接しています。

気候

バーナビーの気候は、標高によって異なる特徴を見せます。サイモンフレーザー大学があるバーナビー山（標高約365メートル地点）での観測データによれば、年間降水量は2,000mmを超え、降雪量も年間約90cmに達するなど、比較的湿度が高く冬期の降雪も多い傾向にあります。これは、バンクーバー国際空港があるリッチモンドでの観測データと比較して降水量が2倍以上に相当します。一方で、市内の標高が低い地域ではより温暖であり、冬期でも雪よりも雨の割合が多くなります。

人口構成

2016年の国勢調査に基づくと、バーナビーの人口は約23万3千人であり、メトロバンクーバー地域内で3番目に人口が多い都市です。バーナビーの人口構成は非常に多様性に富んでいます。全住民のうち白人系の割合は約34.6%と比較的少数派であり、63.6%が非白人系の多様なルーツを持つ人々で占められています。特にアジア系の住民が多く、中国系移民が全体の33.9%と最も大きな割合を占めています。その他にも、フィリピン系、インド・パキスタン系、韓国系など、様々な国や地域からの移民が多く居住しています。市内の北部には多くのイタリア系レストランが並ぶエリアがあり、メトロタウン南部の高層コンドミニアム群には、台湾、香港、マカオを含む中華系、韓国系、旧ユーゴスラビア系などの住民が集まって暮らしているとされています。この多文化的な背景から、家庭で話される母語も多様です。英語を母語とする住民が約4割ですが、中国語や広東語もそれぞれ1割強を占めるなど、英語以外の言語も広く話されています。

交通

市内の公共交通はトランスリンクが担っており、路線バス網に加えて、自動運転鉄道のスカイトレインが主要な交通手段となっています。スカイトレインは市内に2路線が乗り入れています。

ミレニアム・ライン: 2002年に開通した路線で、市内の中央部を東西に走ります（例: レイク・シティ・ウェイ駅、ブレントウッド・タウンセンター駅など）。ブレントウッド・タウンセンター駅周辺も大規模な開発が進み、高層住宅や商業施設が集積しています。
エキスポ・ライン: 1985年に開通した路線で、メトロタウン地区の拠点であるメトロタウン駅を通ります（例: パターソン駅、ロイヤルオーク駅、エドモンズ駅など）。メトロタウン駅はバーナビーの中心駅として機能しています。

また、プロダクション・ウェイ-ユニバーシティ駅やローヒード・タウンセンター駅は両路線の乗り換え駅となっており、プロダクション・ウェイ-ユニバーシティ駅はサイモンフレーザー大学へのアクセス拠点、ローヒード・タウンセンター駅周辺は大規模な韓国系コミュニティや都市開発が進むエリアとなっています。

経済

かつてバンクーバーのベッドタウンとしての性格が強かったバーナビーですが、近年は経済構造が多様化しています。特にハイテク産業やエレクトロニクス産業の重要な拠点として認識されており、多くの企業や研究機関がオフィスや本社を構えています。燃料電池技術のバラード・パワー・システムズや量子コンピューターのD-Wave Systemsなどがバーナビーに本社を置いています。また、世界的に知られるブリッジスタジオがあるなど、映画産業も盛んな地域です。

教育

バーナビーは、カナダ国内でも有数の大規模大学のキャンパスを擁する教育都市でもあります。

サイモンフレーザー大学（SFU）: バーナビー山一体に広大なメインキャンパスを持ち、スカイトレインのプロダクション・ウェイ-ユニバーシティ駅が最寄り駅の一つです。
ブリティッシュコロンビア工科大学（BCIT）: カナダ最大規模の工科大学であり、そのメインキャンパスがバーナビー市内に置かれています。

公園と自然

市内には豊かな緑地と水辺が点在しています。バーナビー湖やディア湖といった主要な湖の周辺は自然公園として整備されているほか、数多くの地区公園やゴルフ場があり、市民は身近な場所で自然に触れ合う機会を得ています。

対外関係

バーナビー市は、国際的な友好関係を築いています。姉妹都市として日本の北海道釧路市やアメリカ合衆国アリゾナ州のメサ市と提携しているほか、台湾の台中市とも提携関係を結んでいます。また、カナダ国内ではケベック州のガティノー市とも姉妹都市協定を結んでいます。

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