バーニー・レドン

バーニー・レドン：多様な才能を持つ音楽家

バーニー・レドン（Bernard Mathew Leadon III、1947年7月19日生まれ）は、アメリカ合衆国ミネアポリス出身の音楽家であり、シンガーソングライター、音楽プロデューサーとしても活動しています。彼は特に、ギター、バンジョー、マンドリン、スティール・ギターなど、数多くの楽器を使いこなすマルチプレイヤーとして知られています。

初期の音楽キャリア

敬虔なカトリックの家庭に育ったレドンは、幼い頃からフォークソングやブルーグラスに親しみ、様々な弦楽器の技術を習得しました。ティーンエイジャーの頃に家族とサンディエゴへ移住し、そこでブルーグラス仲間であるスコッツヴィル・スクワイアレル・バーカーズのエド・ダグラス、ラリー・マレーらと出会います。このバーカーズからは後に、クリス・ヒルマン（バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズで活躍）が輩出されました。

1963年、レドンはバーカーズに加入しますが、短期間で脱退。1964年後半には家族と共にフロリダ州ゲインズビルへ移住し、ゲインズビル・ハイスクールに通います。そこで、後にイーグルスで共に活動するドン・フェルダーと出会いました。当時フェルダーが在籍していたバンド、コンチネンタルズは、スティーヴン・スティルス（後にバッファロー・スプリングフィールドやCSN&Yで活躍）が脱退したばかりでした。レドンはコンチネンタルズに加入し、バンド名をマウンディ・クインテットと改め、トム・ペティのバンド、エピックス（レドンの弟トム・レドンが在籍）らとフロリダ周辺で演奏活動を行いました。

1967年、バーカーズの元メンバー、ラリー・マレーの誘いを受け、彼が結成したサイケデリック・フォーク・グループ、Hearts&Flowers に加入。ロサンゼルスへ拠点を移します。彼らはキャピトル・レコードからアルバム "Of Horses, Kids, and Forgotten Women" をリリースし、ローカルヒットを記録しますが、全米的な成功には至らず、1968年にグループは解散しました。

ディラード&クラーク、フライング・ブリトー・ブラザーズ時代

1968年末、レドンは伝説的なバンジョー奏者ダグ・ディラードと出会い、ディラードと元バーズのジーン・クラークが結成したディラード&クラークに参加。アルバム "The Fantastic Expedition of Dillard & Clark" は、後のカントリーロック界に大きな影響を与え、レドンのマルチインストゥルメンタリストとしての才能が開花しました。彼はバンジョー、ギター、ベース、バッキングボーカルを担当し、収録曲の作曲にも深く関わりました。特に、レドンとジーン・クラークの共作による "Train Leaves Here This Morning" は、後にイーグルスのデビューアルバムにも収録されています。

1969年、ディラード&クラークを脱退後、レドンはクリス・ヒルマンとグラム・パーソンズが結成したフライング・ブリトー・ブラザーズに参加し、"Burrito Deluxe" (1970) と "The Flying Burrito Bros" (1971) の2枚のアルバムに参加します。しかし、商業的な成功の可能性を感じられず脱退。その後、リンダ・ロンシュタットのバックバンドで出会ったグレン・フライ、ドン・ヘンリー、ランディ・マイズナーに合流し、イーグルスを結成しました。

イーグルスでの活躍

イーグルスのデビューアルバム『イーグルス・ファースト』は、早くも成功を収め、レドンとヘンリーの共作 "Witchy Woman" もヒットしました。続くセカンドアルバム『ならず者』(1973) は、「テキーラ・サンライズ」やタイトル曲「ならず者」をフィーチャーしたカントリーロックアルバムでしたが、批評は芳しくなく、レコード会社のプロモーションも不十分でした。そのため、バンドはカントリーロック色を薄め、より大衆にアピールする路線へと方向転換を図ります。レドンの推薦により、彼の元バンド仲間であったドン・フェルダーが3枚目のアルバム『オン・ザ・ボーダー』(1974) 発表後に正式メンバーとして迎え入れられました。

4枚目のアルバム『呪われた夜』(1975) がヒットしたことで、バンドはカントリーやブルーグラスの路線から、よりAORやスタジアムロックへと傾倒。最終的に、レドンはイーグルスを脱退することになります。彼は後に、脱退の理由として、ドラッグなどの健康や音楽的キャリアを害する環境から身を引く必要があったと語っています。

イーグルス在籍中、レドンは「魔女のささやき」やカントリー・クラシックとなった「今朝発つ列車」、隠れた名曲とされる「マイ・マン」、「安らぎによせて」などの作曲、または共作を手掛けました。

イーグルス脱退後

1977年、レドンは初のソロ・アルバム "Natural Progressions" をリリース。1985年には、クリス・ヒルマン、アル・パーキンスをフィーチャーしたプロジェクト Ever Call Ready を結成し、ブルーグラスやゴスペルのアルバムをリリースしました。1980年代後半には、一時的に Nitty Gritty Dirt Band にも参加。ウェストコースト・ロックやブルーグラス、カントリーなど幅広い人脈を活かし、数多くのセッションに参加しました。

1998年、イーグルスのロックの殿堂入りに際し、ニューヨークで行われた授賞式でイーグルスのメンバーと再会。「テイク・イット・イージー」、「ホテル・カリフォルニア」を共に演奏しました。

2004年には、27年ぶりとなる2枚目のソロ・アルバム "Mirror" をリリース。現在はナッシュビルに在住し、セッション・ミュージシャン、プロデューサーとして活動しています。

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