パイオニア探査機の金属板

パイオニア探査機の金属板

1972年と1973年に打ち上げられたパイオニア探査機10号と11号に取り付けられた金属板は、人類から宇宙に向けたメッセージを絵で表現したものです。この金属板は、地球外知的生命体にメッセージを届けるための最初の試みとして知られています。

メッセージの内容

金属板には、男女の人間の姿や地球に関する情報が記されています。特に注目すべきは、宇宙に存在する水素についての記号や、探査機の故郷である地球の位置を示す図などです。この金属板は、星間空間を漂うボトルメールのような存在として設計されており、将来的には何らかの知的生命体に発見されることが期待されています。

探査機が特定の恒星の周囲を回るまでには、銀河系の現在の年齢よりも長い時間がかかるとされています。金属板は、探査機のアンテナの支柱の上に保護された位置に取り付けられており、NASAはこの金属板と探査機が長い間残ることを願っています。

歴史的背景

この金属板を搭載したパイオニア探査機にメッセージを送るというアイデアは、科学評論家エリック・バージェスの提唱から始まりました。彼はNASAのカール・セーガン博士と出会い、知的生命との交信について熱心に議論しました。セーガン博士はこの計画に興味を持ち、NASAもこれを承認した結果、金属板のデザインが進められました。1972年にパイオニア10号、1973年にパイオニア11号が打ち上げられ、両探査機はその後太陽系を脱出しました。

金属板の仕様

金属板は6061-T6というアルミニウム合金で作られており、全体の幅が229ミリメートル、高さが152ミリメートル、厚さが1.27ミリメートルです。彫刻の深さはおおよそ381マイクロメートルで、精密な技術が用いられています。

デザインの詳細

この金属板の左上には水素原子の超微細遷移を示す図があり、右には裸体の男女が描かれています。特に男性は友好的な姿勢を示すために手を挙げており、女性の身長は二進法で表現されています。このデザインは、敵意なく共有できるメッセージを意図したものでした。

さらに、金属板の背後には探査機の外形が描かれ、探査機のサイズと人間の体格を比較できるようになっています。左側には太陽と14個のパルサーとの相対的な位置関係を示す放射状の図もあり、将来的に知的生命体がこれを基に位置を特定できるよう意図されています。

批評と反響

金属板には批評も寄せられています。一つには、メッセージが人間中心的すぎて、理解が困難であるとされる意見があります。明確に解読可能なメッセージがデザインされていないため、発見する者が地球外知的生命体であった場合、彼らにとっては計り知れない難易度があるとされています。

また、批評の一環として、悪意のある知的生命体がこのメッセージを利用して地球を攻撃する可能性を指摘されることもあります。しかし、セーガン博士は、そうしたリスクよりもこのメッセージが宇宙への一歩であることを重視していました。

パイオニア探査機の金属板は、メッセージの意義や人類の存在を宇宙に示す重要な試みであり、科学と人類の未来への期待を体現しています。

もう一度検索