パウル (タコ)

予言ダコ「パウル」：伝説のタコの生涯と予言

パウル（2008年1月 - 2010年10月26日）は、ドイツのオーバーハウゼン水族館で飼育されていたマダコです。彼はサッカーの試合結果を予言することで国際的な名声を得ました。特に、2010年のFIFAワールドカップでは、ドイツ代表の全試合と決勝戦の勝敗を全て的中させ、世界中を驚かせました。

生涯

パウルはイギリス南部のウェイマスにあるシー・ライフ・センターで生まれました。その後、ドイツのオーバーハウゼンにあるシー・ライフ水族館に移り、そこで飼育されました。彼の名前は、ドイツの児童作家ボーイ・ロルンゼンの作品に登場するタコから取られました。

EURO 2008

パウルはEURO2008で、ドイツ代表が出場した6試合中4試合の結果を的中させました。ただし、一部で80%の的中率と誤って伝えられています。

2010 FIFAワールドカップ

2010年のワールドカップでは、パウルはドイツ代表の全7試合と決勝戦の勝敗をすべて的中させるという驚異的な的中率を記録しました。彼の予言は世界中のメディアで報道され、大きな注目を集めました。

グループリーグ：対オーストラリア戦（ドイツ勝利）、対セルビア戦（セルビア勝利）、対ガーナ戦（ドイツ勝利）
決勝トーナメント：対イングランド戦（ドイツ勝利）、対アルゼンチン戦（ドイツ勝利）、準決勝対スペイン戦（スペイン勝利）、3位決定戦対ウルグアイ戦（ドイツ勝利）
決勝：スペイン対オランダ戦（スペイン勝利）

準決勝の対スペイン戦の予言では、ドイツ国内で生中継が行われましたが、パウルがスペインの勝利を予想したため、ドイツのサポーターから批判を浴びる事態となりました。しかし、試合結果はパウルの予言通りとなり、その的中率の高さが改めて証明されました。

試合に勝利したスペインでは英雄視され、スペインの首相が安否を気遣うコメントを出すほどでした。

ワールドカップ後、パウルには他のサッカー関連の予言やテレビ出演の依頼が殺到しました。しかし、タコの寿命が比較的短いことから、彼は予言活動から引退し、水族館で観客を楽しませることに専念しました。2010年10月26日、パウルは老衰のため2歳9ヶ月で亡くなりました。

2011年1月、パウルの功績をたたえて、シー・ライフに記念碑が設置されました。

占いの方法

パウルの占いは、ドイツ代表の試合前に2つのプラスチック容器を用意し、それぞれにドイツと対戦相手の国旗を貼り付け、中に餌（カラスガイやカキなど）を入れて、パウルがどちらの容器から餌を食べるかで勝敗を予想するというものでした。

行動分析

パウルの選択行動については、様々な仮説が提唱されています。

国旗のデザイン: タコは色相を識別できませんが、明度、サイズ、形状などを区別できるため、国旗のデザインを識別できた可能性があります。また、横長の図形に興味を持つという説もあります。
* 餌箱の匂い: タコは触手で獲物を味わったり、水の匂いを嗅いだりするため、餌箱の匂いの違いが行動に影響した可能性も指摘されています。

しかし、La Rochelle 水族館のディレクターは「パウルの選択は全くの偶然によるものだ」と述べています。統計学的には、予知能力を実証するためには、より多数回の試行が必要であると考えられます。

論争

パウルの人気が高まるにつれて、動物の倫理的扱いについての論争も起こりました。動物愛護団体PETAは、パウルを解放することを求めましたが、水族館側はこれを拒否しました。

また、パウルの出自についても論争があり、イタリア人女性がパウルを捕獲したと主張し、イタリアの国会議員がイタリアへの返還を求める手紙を送るなど、騒動に発展しました。

影響

パウルの「予言」にあやかって、他の動物による「スポーツ試合の勝者当てアトラクション」が様々な形で行われました。2018年のFIFAワールドカップでは、日本のミズダコ「ラビオ君」が日本代表のグループリーグ全3試合の勝敗を的中させましたが、決勝トーナメント前に出荷されてしまいました。

パウルの人気は、タコの知能や行動に対する関心を高め、動物と人間の関係について考えるきっかけを与えました。

もう一度検索