パキスタン国際航空740便墜落事故

パキスタン国際航空740便墜落事故の概要

1979年11月26日、パキスタン国際航空740便（ボーイング707-340C型機）が、経由地のキング・アブドゥルアズィーズ国際空港を離陸直後に墜落し、乗員乗客156名全員が死亡する痛ましい事故が発生しました。

事故機について

事故に使用されたボーイング707-340C型機は、1970年に製造され、同年7月30日に初飛行を行いました。その後、パキスタン国際航空に納入され、当初は機体記号AP-AWBとして登録されました。一時的に別の航空会社にリースされた後、1972年にAP-AWZとして再登録されています。事故発生時までに、この機体は合計30,710時間の飛行時間を記録していました。

事故発生の状況

パキスタン国際航空740便は、ナイジェリアのカノからパキスタンのカラチへ向かう途中で、サウジアラビアのジッダを経由する便でした。事故当時、多くの巡礼者が搭乗しており、乗員11名、乗客145名の合計156名が乗っていました。

現地時間1時29分、740便はキング・アブドゥルアズィーズ国際空港を離陸し、予定高度の37,000フィート（約11,000メートル）を目指して上昇していました。離陸から21分後の1時47分、客室後方で火災が発生したことを示す警報が鳴り、客室乗務員がパイロットにその旨を報告しました。

パイロットは、機内の状況と巡航高度30,000フィートからの緊急降下について管制官に連絡した後、高度4,000フィートまでの降下許可を得ました。しかし、その後、煙が客室とコックピットに充満してきたため、パイロットはジッダへの引き返しを要請し、2時3分に遭難信号を発しました。ジッダの管制塔は、無線交信が途絶える直前にパイロットの「メーデー！」という叫び声を最後に受信しました。その約1分後、740便は標高3,000フィート地点に激突し、乗員乗客全員が命を落としました。この事故は、サウジアラビア国内の航空事故史上、またボーイング707型機の事故としては3番目に犠牲者の多い事故となりました。

事故原因の究明

事故調査の結果、墜落の原因は客室後方で発生した火災であると断定されました。火災は急速に拡大し、乗客はパニックに陥り、煙と炎から逃れるために機体前方に殺到しました。これにより、機体の重心が大きくずれ、安定性を失い、最終的に制御不能に陥ったと考えられます。

火災の正確な原因は特定されていませんが、最も有力な説は、巡礼者が持ち込んだストーブからガソリンまたは灯油が漏れたというものです。機内の気圧がわずかに低下することで、特定のガスケットから燃料が漏れやすくなる可能性が指摘されています。また、電気回路の不具合も調査されましたが、電気系統のショートなどによる火災の場合、航空機の電気システムと保護装置の設計上、今回のような急速な火の拡大を説明するのが難しく、可能性は低いと判断されました。機体の残骸は激しく焼損しており、爆弾の起爆装置として使われた形跡も確認されなかったため、テロ攻撃の可能性は否定されました。

関連情報

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外部リンク

事故詳細 - Aviation Safety Network

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