パスト・マスターズ

ビートルズ『パスト・マスターズ』：オリジナルアルバムに収まらなかった珠玉の楽曲たち

ビートルズの膨大な楽曲群の中から、オリジナルアルバムに収録されなかったシングル曲やEP曲をまとめたコンピレーションアルバム『パスト・マスターズ』。1988年のリリース以来、ビートルズファンにとって欠かせない作品となっています。

このアルバムは、英国盤公式オリジナルアルバム全12作に加え、『マジカル・ミステリー・ツアー』に収録されなかった楽曲を網羅することを目的として制作されました。ビートルズ自身による編集ではありませんが、『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』に先駆けてリマスターされるなど、他のオリジナルアルバムと同様の扱いを受けるほど、その重要性が認められています。

リリースと様々なフォーマット

『パスト・マスターズ』は、当初『パスト・マスターズ Vol.1』と『パスト・マスターズ Vol.2』の2枚組CDとして1988年3月7日にリリースされました。その後、同年10月22日には、両方を収録したアナログ盤（LP）が『パスト・マスターズ (Past Masters, Vol.1&2)』というタイトルで発売されました。

2009年には、オリジナルアルバムのリマスター盤リリースに合わせ、『パスト・マスターズ』はVol.1とVol.2を合わせた1枚のCDとして、ボックスセット『ザ・ビートルズ BOX』に収録されました。この際、1988年盤でモノラルミックスだった「フロム・ミー・トゥ・ユー」と「サンキュー・ガール」がステレオミックスに差し替えられています。また、同日に発売された『ザ・ビートルズ MONO BOX』には、モノラルミックスで収録された『モノ・マスターズ』が収録されました。さらに、アナログ盤は2012年11月12日に改めてリリースされています。

収録内容：シングルA面、B面、そして隠れた名曲たち

『パスト・マスターズ Vol.1』には、1962年から1965年にかけて発売されたシングル曲のA面、B面、EP盤『ロング・トール・サリー』収録の楽曲、ドイツで発売されたシングル2曲、そしてキャピトル編集盤『ビートルズ VI』収録の「バッド・ボーイ」などが収録されています。「ラヴ・ミー・ドゥ」は、オリジナルアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』にも収録されていますが、こちらはシングル盤第2版からの別テイクであり、オリジナルシングルバージョンはアルバム未収録でした。「バッド・ボーイ」は、英国では1966年の編集盤『オールディーズ』に収録されましたが、アメリカでの発売年（1965年）に準拠して収録されています。

『パスト・マスターズ Vol.2』には、1965年から1970年にかけて発売されたシングル曲のA面、B面、そしてチャリティー盤収録の「アクロス・ザ・ユニバース」などが収録されています。「アクロス・ザ・ユニバース」はアルバム『レット・イット・ビー』にも収録されていますが、こちらはフィル・スペクターによるリアレンジ版であり、ビートルズ名義のアルバムとしては、本作が初収録となります。「ジ・インナー・ライト」のステレオ・ミックスは、本作がリリースされるまでは、1981年リリースの『ザ・ビートルズ EPコレクション』でのみ聴くことができました。

まとめ：ビートルズの歴史を紐解く重要な作品

『パスト・マスターズ』は、単なるコンピレーションアルバムではなく、ビートルズのシングル作品の歴史を辿る上で非常に重要な作品です。オリジナルアルバムに収録されなかった楽曲は、ビートルズの幅広い音楽性を示すものであり、アルバム未収録楽曲を補完する意味でも非常に高い価値があります。CD、LPと様々なフォーマットで発売され、現在も世界中のビートルズファンに愛され続けている、まさに必携のアルバムと言えるでしょう。

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