モノ・マスターズ

ビートルズ『モノ・マスターズ』：モノラル・サウンドの至宝

2009年9月9日、ビートルズのボックスセット『ザ・ビートルズ MONO BOX』に収録される形でリリースされた『モノ・マスターズ』は、マニア垂涎のコンピレーションアルバムです。同時期に発売された『ザ・ビートルズ MONO BOX』は、ビートルズの全オリジナルアルバムのモノラルミックスを網羅した画期的な作品として大きな話題を呼びました。その中でも『モノ・マスターズ』は、特に注目すべき存在と言えるでしょう。

なぜなら、このアルバムはビートルズの公式オリジナルアルバム12作とアメリカ編集盤『マジカル・ミステリー・ツアー』には収録されなかった楽曲のモノラルミックスを集めた、いわば“幻の楽曲集”だからです。その内容は、既発のコンピレーションアルバム『パスト・マスターズ』をベースにしながらも、重要な違いがあります。

『パスト・マスターズ』では収録されていたものの、モノラルミックスが存在しない「ジョンとヨーコのバラード」、「オールド・ブラウン・シュー」、「レット・イット・ビー」の3曲は、『モノ・マスターズ』からは除外されています。その代わりに、『パスト・マスターズ』には未収録だった、これまで未発表だったリアル・モノラル・ミックスの楽曲が追加されているのです。「オンリー・ア・ノーザン・ソング」、「オール・トゥゲザー・ナウ」、「ヘイ・ブルドッグ」、「イッツ・オール・トゥ・マッチ」といった、隠れた名曲が、このアルバムで初めて日の目を見ることとなりました。

しかし、すべての楽曲が新規収録というわけではありません。『パスト・マスターズ』でモノラルミックスが収録され、リアル・ステレオ・ミックスが存在しない「ラヴ・ミー・ドゥ」、「シー・ラヴズ・ユー」、「アイル・ゲット・ユー」、「ユー・ノウ・マイ・ネーム」の4曲は、『モノ・マスターズ』にも収録されており、両作品に共通する楽曲となっています。

これらの楽曲は、ビートルズ初期の代表曲であり、モノラルサウンドならではの独特の迫力が魅力です。これらの楽曲を改めてモノラルで聴き比べることで、ビートルズのサウンドに対する新たな発見や解釈が生まれることでしょう。

『モノ・マスターズ』は、単なるコンピレーションアルバムではありません。ビートルズの音楽史において、重要な位置を占めるモノラルミックスに焦点を当て、マニア心をくすぐる選曲によって構成された、まさに“モノラル・サウンドの至宝”と言える作品です。

その価値の高さを証明するように、2014年9月8日には、アナログ盤も発売されました。高音質で楽しめるアナログ盤は、コレクターにとって垂涎の的と言えるでしょう。オリジナル盤でしか味わえない音質、そしてジャケットデザインの美しさは、所有する喜びをさらに高めてくれます。

ビートルズファンにとって、『モノ・マスターズ』は、彼らの初期作品から隠れた名曲までを網羅した、まさに必携の一枚と言えるでしょう。モノラルサウンドの魅力を再発見したい、あるいはビートルズのディープな世界に足を踏み入れたいという方にとって、このアルバムは最高の選択肢となるはずです。

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