パタニ王国

パタニ王国の歴史と影響

パタニ王国は、14世紀から19世紀まで存在したマレー半島の重要な王朝であり、マレー系王朝の中で最も古いイスラム王国として知られています。元々はランカスカ王国の一部であり、最盛期にはマレー半島北部からタイ南部にかけて広がっていました。

ランカスカ王国の歴史

2世紀から14世紀にかけて栄えたランカスカ王国は、ヒンドゥー教を国教としていましたが、海岸線の沈泥や外部からの侵攻によって徐々に衰退しました。11世紀にはチョーラ朝の侵攻により、国際貿易の中心地としての役割を失い、最終的には13世紀にシュリーヴィジャヤ王国の属国となりました。

13世紀中頃には、イスラム教の影響下でラジャ・スリ・ワンサによってパタニ王国が設立されました。この事件は、彼が新たな首都を選ぶ際に「この浜にしよう」と唱えたことに由来しています。首都は現在のパッターニー県ムアンパッターニー郡近辺であり、ここは南シナ海貿易の要所として重要な役割を果たしていました。

イスラムと貿易の発展

1511年、マラッカ王国がポルトガルによって陥落すると、パタニはマレー貿易の中心地としての地位を強化し、インド人ムスリム商人が頻繁に訪れるようになりました。1516年には、ポルトガルの探検家ゴディーニョ・デ・エレディアがこの地に足を踏み入れ、西洋からも注目を集めるようになりました。

大航海時代に入ると、パタニにはポルトガル、オランダ、イギリスなどが商館を設立し、日本からも多くの商人がやって来ました。こうした国際的な貿易の盛況は、パタニの経済を支えましたが、同時に周辺の国々との抗争を招く要因ともなりました。

王国の衰退と近代の影響

パタニ王国はスコータイ王国やアユタヤ王国の支配下に置かれることが多く、特にスルタン・ムザファル・シャーが支配を取り戻そうとした際に彼が不審な死を遂げるなど、不安定な時代が続きました。その後、女王による統治が続き、4人の女王が在位した期間にはパタニは黄金期を迎え、周辺国との軍事的対立が続きました。

アユタヤ王朝が滅亡すると、パタニは自立しますが、1786年にチャクリー王朝が成立すると、その影響を受けることになります。特にラーマ1世により再征服され、住民の反発を招くことになりました。1902年には中央政府の直接統治下に組み込まれ、以降も武力による抵抗が続きました。

現在の状況

現在、旧パタニ領においては、住民の間でパタニ王国の再興を求める動きが見受けられます。特にタイ政府に対する反発や、黄金時代への憧れが背景にあるとされています。こうした運動は、歴史的なアイデンティティの回復を目指すものであり、今後の動向が注目されます。

パタニ王国の栄光と苦悩の歴史は、マレーシアとタイの歴史において重要な側面を成しており、今なおその影響を感じることができます。

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