パトリック・ワッツ

パトリック・ワッツ：輝ける経歴とBTCCでの激闘

パトリック・ワッツ (Patrick Watts, 1955年11月21日生まれ) は、イギリスを代表するレーシングドライバーです。1970年代後半から2000年代初頭にかけて、主にイギリスツーリングカー選手権(BTCC)で活躍し、数々の名門チームで才能を遺憾なく発揮しました。ケント州ファーバラ出身の彼は、類まれなドライビングテクニックと豊富な経験で、多くのファンを魅了しました。

華々しいキャリアの幕開け

ワッツのキャリアは1979年、ナショナルミニ850チャンピオンを獲得したことで始まりました。その後、彼はBTCCに参戦し、ローバー・メトロなどを駆り、1983年と1984年にはクラス優勝を達成。才能の片鱗を見せつけました。1980年代後半には、フィアット・ウーノターボのワンメイクレースやホンダ・CR-Xチャンピオンシップで複数のタイトルを獲得。さらに、マツダ・MX-5チャンピオンシップでも優勝を果たし、着実にキャリアを積み重ねていきました。1991年にはESSOプロダクション・サルーンカー選手権でプジョー・309を駆り、タイトルを獲得。BTCC参戦への道を切り開きました。

マツダワークスドライバーとして

1992年、ワッツは念願のBTCCにマツダワークスドライバーとして参戦します。マツダ・323F(日本名：マツダ・ファミリアアスティナ)を駆り、BMWやボクスホールといった強豪チームと激しい戦いを繰り広げました。その後、マツダ・クセドス6(日本名：ユーノス・500)に乗り換え、表彰台一歩手前の4位入賞を3回記録。スネッタートンではポールポジションを獲得するなど、その実力を示しました。しかし、シーズン中にはいくつかのアクシデントに見舞われ、最終的には15位に終わりました。1993年末、マツダは翌年もワークスチームを継続すると発表したものの、1994年はチーム運営を断念。ワッツはプジョーに移籍することを決断しました。

プジョーでの挑戦とBTCC引退

1994年から1997年まで、ワッツはプジョーチームに所属し、プジョー・405、406をドライブ。チームメイトにはユージン・オブライエン、サイモン・ハリソン、ティム・ハーベイといった名ドライバーがいました。1994年にはシリーズ8位、1995年には10位と健闘しましたが、マシン開発の遅れやチーム内部の問題、予算不足など、様々な困難に直面しました。特にプジョー・406は、開発が思うように進まず、パフォーマンス不足に悩まされました。1997年にはオーストラリアのバサースト1000にも参戦しましたが、完走はなりませんでした。これらの苦戦を経験した後、ワッツは1997年末にBTCCからの引退を発表しました。

BTCC後の活動と現在

BTCC引退後、ワッツは1999年のオーストラリアスーパーツーリングチャンピオンシップに参戦。第1ラウンドで優勝、第2ラウンドでは2レース連続2位を獲得するなど、その実力を見せつけました。その後は、ヒストリックレースイベントを中心に活動。2004年にはBTCCマスターズに参戦するなど、ベテランドライバーとして活躍を続けました。現在も、アラードJ2やFIAマスタングなどを駆り、ヒストリックレースシーンでその存在感を示しています。彼の90年代のBTCCでの活躍は、今なお語り継がれています。

パトリック・ワッツのキャリアは、華々しい勝利と厳しい試練を乗り越えた、まさにレーシングドライバーとしての生き様そのものです。彼の功績は、イギリスのモータースポーツ史に永遠に刻まれるでしょう。

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