フィアット・ウーノ

フィアット・ウーノ：世界を駆け抜けた大衆車の軌跡

フィアット・ウーノは、イタリアの自動車メーカー、フィアットが1983年から2013年まで製造・販売した小型車です。1980年代のヨーロッパで人気を博し、世界各国で生産、販売され、その歴史は長く、数々のエピソードも残しました。本記事では、初代モデルから2代目モデルまで、その歴史と特徴を詳しく解説します。

初代ウーノ（1983年-1995年）

初代ウーノは、フィアット127の後継車種として開発されました。3ドアと5ドアハッチバックの2種類のボディタイプがラインナップされ、シンプルながらも実用的なデザインが特徴でした。

ベースグレードには999ccのエンジンを搭載し、上位グレードでは1116ccと1301ccのエンジンが用意されました。いずれも燃費の良さが評価され、経済的な小型車として人気を集めました。

1984年には「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、高い評価を得ました。1985年には、ターボチャージャーを搭載した高性能版「ターボie」が追加され、スポーティな走りを求めるユーザーにも支持されました。

1989年にはマイナーチェンジを行い、空気抵抗を低減したデザインに変更。同時にインテリアデザインも刷新され、前期型で問題となっていたダッシュボードの振動問題も解消されました。

イタリア国内での生産は1995年に終了しましたが、その後も世界各国で生産が継続されました。南アフリカ共和国では日産自動車のライセンスの下で「ニッサン・ウーノ」として、ブラジルでは2013年まで長期にわたって生産され、エタノール対応モデルも販売されました。ポーランド、アルゼンチン、パキスタン、モロッコ、フィリピンなどでも現地生産が行われました。アルゼンチンでは、ウーノをベースとしたセダンタイプ「ドゥーナ」やステーションワゴンタイプ「エルバ」も製造されました。

ラリー活動

ウーノは、ラリー競技にも参戦しました。1980年代後半には、グループA仕様のウーノターボが世界ラリー選手権に参戦。高い信頼性と走行性能が求められる過酷な競技環境において、一定の成果を残しました。しかし、グループAカテゴリーにおけるフィアットの主力モデルは、その後、より大型のレガータへと移行しました。

数々の逸話

ウーノは、その歴史の中で数々の逸話を生み出しました。ダイアナ元妃の事故の際に、追走していたパパラッチが白いフィアット・ウーノに乗っていたという証言がありますが、真偽は不明です。また、1990年代初頭のイタリアでは、「ウーノ・ビアンカ（白いウーノ）」という犯罪グループが暗躍し、その名前は彼らの愛車であるフィアット・ウーノに由来しています。イモビライザーが装備されていなかった当時のウーノは、盗難されやすかったことが背景にあります。また、ジウジアーロがデザインしたフィアット・パンダと非常に似ているため、間違えられることも多いようです。

2代目ウーノ（2010年-）

2代目は、ブラジルを中心とした南米市場向けに投入されたモデルです。初代モデルとは異なり、丸みを帯びたデザインを採用。コスト削減のため、フィアット・パンダのプラットフォームをベースに開発されました。エンジンは、ガソリンとエタノールに対応したフレックス燃料車タイプが採用され、5速MTが組み合わされました。2015年モデルからは、アイドリングストップ機構とデュアロジック（自動変速機）がオプションで追加されました。

まとめ

フィアット・ウーノは、世界中で愛された大衆車です。その歴史は、技術革新、販売戦略、そして数々のエピソードによって彩られています。経済性と実用性を両立したデザイン、そして世界各国での生産体制は、フィアット・ウーノが成功を収めた大きな要因と言えるでしょう。この車は、単なる交通手段を超えた、人々の生活の一部として記憶されています。

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