パドヴァニーノ

パドヴァニーノ（Padovanino）

アレッサンドロ・レオーネ・ヴァロタリ（Alessandro Leone Varotari）、通称パドヴァニーノは、1588年4月4日にパドヴァで生まれ、1649年7月20日に没した、後期マニエリスムおよび初期バロックのヴェネツィア派を代表する画家です。パドヴァニーノという通称は、彼の出身地であるパドヴァに由来します。

生涯

パドヴァニーノは、画家であり建築家でもあった父ダリオ・ヴァロタリ（Dario Varotari the Elder）の息子として誕生しました。また、妹には女性画家のキアラ・ヴァロタリがいました。彼は、幼少期から父親のもとで絵画の基礎を学び、その才能を開花させました。初期の作品には、ティツィアーノ・ヴェチェッリオの影響が強く見られます。パドヴァのサンタ・ルチア教会にある『聖トマスの不信』、パドヴァ大聖堂所蔵の『聖母子』、アカデミア美術館に所蔵されている『ペンテコステ』などが、その代表例です。これらの作品は、色彩の豊かさと人物描写の巧みさが特徴です。

1612年、パドヴァニーノはカテリーナ・メサ（Caterina Mesa）と結婚し、1614年にはヴェネツィアへと移住しました。ヴェネツィアでは、サン・マルコ大聖堂のモザイク制作や、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の内部装飾に携わるなど、精力的に活動しました。また、パドヴァニーノはローマにも二度訪れており、1610年代半ばと1625年には、ローマでルネサンス期の巨匠たちの作品を模写する機会を得ました。この経験は、彼の画風に大きな影響を与えたとされています。ローマ滞在中には、先人の作品から多くを学び、自身の作品に取り入れたと考えられています。

また、ミラノのブレラ美術館に所蔵されている『ノルマン人に対するカルヌティの勝利』は、彼の代表作の一つであり、大規模な戦闘シーンを迫力たっぷりに描いた作品として知られています。この作品は、彼の卓越した構成力と表現力を示しており、彼の芸術家としての地位を確固たるものにしました。

弟子

パドヴァニーノは、多くの弟子を育成し、ヴェネツィア派の芸術を後世に伝えました。彼の弟子には、ピエトロ・リベリ、ジュリオ・カルピオーニ、バルトロメオ・スカリジェロ、ピエトロ・デラ・ベッキア、女性画家カテリーナ・タラボッティ、そして自身の息子ダリオ・ヴァロタリ（Dario Varotari the Younger）などがいます。これらの弟子たちは、パドヴァニーノの画風を受け継ぎながらも、それぞれの個性を発揮し、ヴェネツィア派の芸術を豊かにしました。

芸術性

パドヴァニーノは、当時非常に尊敬を集めた芸術家でした。彼は模倣者としての才能によって広く知られるようになりましたが、それ以上に、絵画史において重要な地位を占めています。彼は、ティツィアーノの絵画を深く研究し、その精神とスタイルを生涯にわたって忠実に守り続けました。パドヴァニーノの作品は、物語性豊かで、官能的な表現が特徴です。彼の絵画は、17世紀に至るまで高い評価を受け続けました。

ギャラリー

（ギャラリーの内容は、実際の画像へのリンクがないため、省略します。）

参考文献

Maria H. Loh. Titian Remade: Repetition and the Transformation of Early Modern Italian Art. J Paul Getty Museum Pubns (2007)
Bryan, Michael. Walter Armstrong & Robert Edmund Graves (ed.). Dictionary of Painters and Engravers, Biographical and Critical, Volume II L-Z. (1889)

外部リンク

Web Gallery of Art Biography
Grove encyclopedia entry

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