パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント

パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメントについて

パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメントは、アメリカ合衆国ハワイ州の北西に位置する広大な海洋保護区です。北西ハワイ諸島全域が指定されており、その面積は当初36万平方キロメートルでしたが、後に151万平方キロメートルまで拡張されました。これは、自然保護区としては南極のロス海に次ぐ世界で2番目の規模を誇り、アメリカ国内のすべての国立公園の総面積を上回るほど広大です。この保護区は、生物多様性の保全と、ハワイ先住民の文化的な遺産を保護する上で重要な役割を果たしています。

歴史

北西ハワイ諸島の保護の取り組みは、1909年のセオドア・ルーズベルト大統領による大統領令に始まりました。その後、フランクリン・ルーズベルト、ビル・クリントン各大統領の時代を経て、2006年6月にはジョージ・W・ブッシュ大統領によって北西ハワイ諸島海洋ナショナル・モニュメントが設定されました。2007年2月27日には現在の名称である「パパハナウモクアケア」に改名されました。この名称は、ハワイの宇宙論に由来し、母なる大地の神「パパハナウモク」と父なる天空の神「ワーケア」の結合によってハワイ諸島が誕生したという神話を象徴しています。

さらに、2007年には、国際海事機関（IMO）によって、保護区の海洋エリアが特別敏感海域に指定され、国際的な保護の取り組みも進められています。

世界遺産登録

2010年7月、パパハナウモクアケアは、その全域がユネスコの世界遺産（複合遺産）に登録されました。当初は「パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント」として推薦されましたが、国際記念物遺跡会議（ICOMOS）と国際自然保護連合（IUCN）の勧告により、文化的価値も含む名称として「パパハナウモクアケア」とされました。これはアメリカ合衆国初となる複合遺産であり、文化的な景観としても登録された初の事例です。

世界遺産としての価値

パパハナウモクアケアが世界遺産として登録されたのは、以下の基準を満たしているからです。

(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠: ニホア島やマクマナマナ島には、ヨーロッパ人が到達する以前のハワイ先住民のヘイアウ（祭壇）などの遺跡が残っており、古代の文化的な伝統を今に伝えています。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの: パパハナウモクアケアは、ハワイ先住民にとって、生命が生まれ、還る場所として神聖視されてきました。その信仰や宇宙観を今に伝える象徴的な場所です。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの: 火山列、海山、堆、サンゴ礁、ラグーン、沈んだ島など、多様な海洋地形を持ち、地球の歴史を物語る貴重な場所です。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの: ハワイモンクアザラシやアオ[[ウミガメ]]などの希少な海洋生物が生息しており、独自の生態系が形成されています。
* (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの: レイサン島には、ハワイモンクアザラシの重要な繁殖地があり、レイサンマガモ、レイサンハワイマシコ、ニホアハワイマシコ、ニホアヨシキリなどの希少な鳥類も生息しています。また、サメ、海鳥、ウミガメ、クジラ類、ファンパームなどの多様な生物が生息しており、生物多様性の宝庫です。

文化的価値

この地域は、ハワイ先住民にとって神聖な場所であり、ニホア島やマクマナマナ島には、ヨーロッパ人が到達する以前のヘイアウ（祭壇）などの考古遺跡群が残されています。これらの遺跡は、遠く離れたタヒチやマルキーズ諸島の文化遺跡との類似性が見られ、ハワイがポリネシア文化圏に属することを証明する重要な証拠となっています。

貴重な自然

レイサン島には、世界のハワイモンクアザラシの約20%が生息しており、フレンチフリゲート瀬ではハワイのアオ[[ウミガメ]]が繁殖するなど、ハワイ人にとって馴染み深い貴重な自然が息づいています。この地域は、ハワイの生物多様性を守る上で欠かせない場所であり、生態系保全のための取り組みが続けられています。

パパハナウモクアケアは、その広大な面積、豊かな生物多様性、そしてハワイ先住民の文化的な遺産を今に伝える貴重な場所です。この場所が世界遺産として登録されたことは、その普遍的な価値を認め、未来へと継承していくための重要な一歩と言えるでしょう。

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