パリ北駅

パリ北駅：ヨーロッパ最大の鉄道ターミナル

パリ北駅（Gare du Nord）は、フランスの首都パリに位置する、フランス国鉄（SNCF）とパリ交通公団（RATP）が共同運営する巨大な鉄道駅です。年間2億人を超える利用客数を誇り、ヨーロッパ最大の鉄道駅として知られています。国際列車、国内高速列車、近郊列車、そしてメトロが乗り入れ、パリとその周辺地域、さらにはヨーロッパ各地へのアクセスを容易にしています。

主要な路線と列車

パリ北駅は、実に多様な路線と列車が発着する、まさにヨーロッパの交通ハブと言えるでしょう。国際列車としては、ロンドンを結ぶユーロスター、ブリュッセル、アムステルダム、ケルンなどヨーロッパ主要都市を結ぶタリス、そして夜行列車も運行されています。

フランス国内では、TGV（高速列車）がリール、ダンケルクなどのフランス北部を網羅し、Corail IntercitésやTERといった在来線はピカルディ地域圏、ノール＝パ・ド・カレー地域圏方面へと伸びています。近郊列車（トランジリアン）のH線、K線は、パリ近郊のセーヌ＝サン＝ドニ県、ヴァル＝ドワーズ県、オワーズ県方面へと運行されています。

さらに、RER（パリ近郊鉄道）のB線とD線も乗り入れており、シャルル・ド・ゴール国際空港やパリ南部へのアクセスも容易です。地下にはメトロ4号線と5号線も乗り入れており、パリ市内へのアクセスも抜群です。RER E線やメトロ2号線への乗り換えも可能です。東駅へも徒歩圏内ですが、連絡通路はありません。

利用状況と駅構造

2014年の統計によると、パリ北駅の利用状況は、トランジリアンが49%、アンテルシテとTERが28%、TGVなどの高速列車が23%となっています。平日の1日あたりの平均利用客数は、アンテルシテとTERの合計で69,600人、TGVなどの高速列車で57,500人にものぼります。

駅構造は地上部分と地下部分から構成されています。地上には28本の頭端式ホームがあり、国際列車、高速列車、近郊列車が発着します。地下にはRER用の島式ホームがあります。ユーロスター専用のホームには出入国審査場があり、セキュリティが厳重に管理されています。また、トランジリアン用のホームには自動改札機が設置されています。

1865年完成の駅舎は、ジャック・イトルフによる設計で、正面にはパリとその周辺都市を象徴する23体の女神像が飾られています。駅舎内にはチケット売り場、案内所、レストラン、カフェ、郵便局、警察署など様々な施設が充実しています。メトロ4号線と5号線の駅も地下にあります。

歴史

パリ北駅は1846年に開業し、以来、ヨーロッパの鉄道交通の中心地として発展を続けてきました。当初は手狭だったため、1860年には駅舎の拡張が行われ、1861年からイトルフによる現在の駅舎が建設されました。建設にはスコットランド製の鋳鉄製の柱が使われ、これは当時、この規模の柱を作れる鋳造所がスコットランドにしか存在しなかったためです。

その後、利用者の増加に伴い、幾度にもわたる拡張工事が行われ、メトロの乗り入れなども実現しました。第一次世界大戦や第二次世界大戦、そして冷戦期にも、この駅はヨーロッパ各地を結ぶ重要な交通拠点として機能し続けました。RERの乗り入れも始まり、近年ではユーロスターの運行開始など、常に現代のニーズに応じた進化を遂げています。しかし、2023年には駅構内で事件が発生し、多くの負傷者が出ました。

隣の駅

パリ北駅には、TGV、Corail Intercités、TER、RER、メトロなど、多くの路線が乗り入れているため、周辺の多くの駅と接続しています。具体的には、リール、アラスなどのTGVの停車駅、パリ近郊の多くの駅、シャルル・ド・ゴール空港、そしてパリ市内の他の駅と接続しています。

結論

パリ北駅は、単なる鉄道駅にとどまらず、パリそしてヨーロッパの重要な交通インフラ、歴史的建造物、そして多くの人々の生活を支える重要な拠点となっています。その歴史、規模、そして多様な機能は、訪れる人々に驚きと感動を与え続けるでしょう。

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