パリ国立高等音楽・舞踊学校の人物一覧

パリ国立高等音楽・舞踊学校は、フランス音楽教育の中心として、200年以上の歴史を誇ります。この学府からは、音楽史に名を刻む作曲家、演奏家、理論家、そして優秀な教育者が多数輩出されています。

歴代の指導者たち

学校の歴史は、歴代の院長たちのリーダーシップと共に歩んできました。創設期にあたる19世紀初頭には、初代院長のベルナール・サレットが学校の礎を築きました。その後、フランシス・ペルヌ、ルイージ・ケルビーニ、ダニエル＝フランソワ＝エスプリ・オベール、アンブロワーズ・トマといった著名な作曲家たちが院長を務め、学校の発展に貢献しました。特に、テオドール・デュボワの後を継いだガブリエル・フォーレは、音楽院の教育システムに大きな改革をもたらし、「ロベスピエール」のあだ名で知られるほどの強い意志を持って運営にあたりました。戦後、国立高等音楽・舞踊学校となってからは、クロード・デルヴァンクール、マルセル・デュプレ、レイモン・ルシュールらが時代を牽引し、レイモン・ガロワ＝モンブランの時代には研究科が設置されるなど、教育体制の拡充が進みました。マルク・ブルーズによるフォルマシオン・ミュジカルの体系化や、アラン・ポワリエの時代にはLMD制度（学士・修士・博士課程に相当する欧州統一基準）への移行が行われました。近年では、ブルーノ・マントヴァーニが学校を率いています。

偉大な卒業生たち

この学校からは、驚くほど多くの著名な音楽家が巣立っています。19世紀には、エクトル・ベルリオーズ、シャルル・グノー、カミーユ・サン＝サーンス、ジョルジュ・ビゼーなど、フランス音楽の黄金期を築いた作曲家たちが学びました。クロード・ドビュッシーやモーリス・ラヴェルといった近代音楽の巨匠たちもまた、この学び舎の出身です。20世紀に入ると、エドガー・ヴァレーズ、アルテュール・オネゲル、ダリウス・ミヨー、ジェルメーヌ・タイユフェールといったフランス6人組の面々や、オリヴィエ・メシアン、アンリ・デュティユー、ピエール・ブーレーズなど、現代音楽を牽引した作曲家や演奏家、理論家が続々と現れました。彼らの活躍は、フランス国内外の音楽界に計り知れない影響を与えています。

日本からの留学生

遥か離れた日本からも、多くの有望な音楽家がこの歴史ある学府の門を叩き、研鑽を積んできました。作曲分野では、池内友次郎、三善晃、黛敏郎らが学び、その後の日本音楽界に大きな足跡を残しました。ピアノ分野では、安川加壽子、田中希代子、横山幸雄、萩原麻未といった、日本を代表するピアニストたちがここで学びました。その他、フルートの大和田葉子、クラリネットの板倉康明、サクソフォーンの平野公崇など、様々な楽器の奏者や、指揮者の阿部加奈子らもこの学校で専門的な教育を受けています。彼らがフランスで培った経験は、帰国後の活動を通じて日本の音楽文化の発展にも大きく貢献しています。

パリ国立高等音楽・舞踊学校は、その長い歴史の中で、音楽界・舞踊界に多大な影響を与え続ける多くの人物を輩出しています。ここで紹介した人物たちはその一部に過ぎませんが、彼らの存在こそが、この学校が世界に誇る名門たる所以と言えるでしょう。

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