阿部加奈子

阿部加奈子は、1973年大阪市に生まれ、2歳から母親の手ほどきでピアノを始めました。相愛音楽教室、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学音楽学部作曲科を経て、パリ国立高等音楽院に進学し、和声、対位法、フーガ、管弦楽法、楽曲分析、器楽伴奏、指揮の7つのクラスを修了しました。作曲を永冨正之、ピアノ伴奏法をジャン・ケルネール、管弦楽法をマーク＝アンドレ・ダルバヴィ、楽曲分析をミカエル・レヴィナス、指揮法をフュルスト・ヤーノシュ、ナジ・ジョルト、エトヴェシュ・ペーテルらに師事しました。

2005年にはパリで現代音楽アンサンブル「ミュルチラテラル」を創設し、音楽監督に就任。2006年には、第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ現代芸術祭に招待され、ミカエル・レヴィナスのオペラを指揮するなど、2024年までに200を超える新作の初演を手がけています。

2008年から2009年にかけては、モンペリエ国立歌劇場の副指揮者として、ローレンス・フォスター、イェジー・セムコフ、アラン・アルティノグリュ、エンリケ・マッツォーラ等のアシスタントを務め、モンペリエ国立管の演奏会やオペラ公演を数多く指揮しました。2010年10月には、チューリッヒ歌劇場でマーク＝アンドレ・ダルバヴィのオペラ『ジェズアルド』世界初演の副指揮を担当、2014年にはファビオ・ルイージの副指揮者としてアルフレード・カゼッラのオペラ『蛇女』の公演に携わりました。

現在までに、指揮者、ピアニストとして、武満徹ピアノ作品集を含む12枚のCDをリリースしており、ラジオ・フランスなどでのラジオ録音も定期的に行っています。2012年に録音したラジオ・オペラ「幻覚の夜」はイタリア賞を受賞しました。

これまでの主な客演先は、モンペリエ国立管弦楽団、ロレーヌ国立管弦楽団、コンセール・パドルー、ニース交響楽団、カーン管弦楽団、リール国立管弦楽団、バスク交響楽団、パリ国立高等音楽院管弦楽団、Ensemble l'Itinéraire、Smash Ensemble、Ensemble Zellig、ジュネーヴ室内管弦楽団、ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽団、オーケストラ・ニッポニカ、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、広島交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団、大阪交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団などです。

2011年3月の東日本大震災発生後、4月10日には、ユネスコパリ本部にてチャリティー演奏会を企画し、実行委員長として有志音楽家からなる「ジャポネードオーケストラ」を指揮しました。

2013年より日仏現代音楽協会代表を務め、2014年からはインドネシア・ユース交響楽団の音楽監督ならびにMusica Universalisの芸術監督を務めています。

2022年4月にはドーム交響楽団の音楽監督に就任し、同年7月にはブシュラ・エル＝トゥルクの新作室内オペラ「Woman At Point Zero」の初演を指揮してエクサンプロヴァンス音楽祭にデビュー。その後、同オペラの公演で2023年6月に英国コヴェントガーデン歌劇場、2024年5月にウィーン音楽祭にもデビューを果たしました。

阿部加奈子の活動は、指揮者、作曲家、ピアニストとしての才能に加え、国際的な視野と社会貢献への強い意識によって支えられています。

もう一度検索