パンケ沼

パンケ沼について

パンケ沼（パンケぬま、パンケトウ）は、北海道の幌延町に位置する円形の汽水湖であり、サロベツ原野の中に広がっています。天塩川の下流域にあり、面積は約3.55平方キロメートルで、水深は平均約1.8メートルと比較的浅い湖です。この地は、環境省により日本の重要湿地500に指定され、その保護が図られています。

名称の由来

「パンケ沼」という名前はアイヌ語に由来しています。サロベツ川の東側には二つの沼があり、それぞれ「パンケト（panke-to）」と「ペンケト（penke-to）」と呼ばれています。「パンケト」は、下流側に位置する沼を指し、それに関連して現在の「下沼」という名称が付けられました。一方、「ペンケト」は上流側の沼で、現在知られるペンケ沼の元となった呼び名です。

地形と水文学

パンケ沼は長円形の特徴的な地形を持ち、北方向から流れ込むパンケオンネベツ川と、引き続きサロベツ川に流れ出る短い水路が存在します。サロベツ川は北から南へと流れ、パンケ沼から11.8キロメートルの地点で本流の天塩川に合流しています。そして、天塩川はその後、約12キロメートル離れた地点で日本海に注いでいます。これにより、パンケ沼の出口は海からおよそ23.8キロメートル内陸に位置しています。

パンケ沼は、天塩川とサロベツ川を通じた海水の影響を受ける汽水湖であり、その水の塩分濃度は年間を通して1から4PSU（実用塩分単位）と変動します。最も多い時で19PSUを記録することもありますが、塩水が長期間入らない場合は淡水化が進むことがあります。

生物多様性

パンケ沼の湖畔には、ショウジョウバカマやエゾミソハギ、エゾカンゾウ、ヒメシャクナゲなど多様な植物が生息しています。また、季節になるとハクチョウなどの渡り鳥も観察されるため、散策路や野鳥観察舎、展望台が整備されています。水中の生物としてはフナやテツギョなどの魚類、ヤマトシジミなどの貝類が見られます。

漁業と資源保護

この地域の沼や周辺の河川は、漁業と資源保護の観点から捕獲が禁止されています。特に、パンケ沼はヤマトシジミの北限生息地として知られ、かつては重要な漁場でした。しかし、1985年には漁獲量が500トンを超えたものの、2000年代に入ると著しく減少し、2014年には漁獲が完全に停止しました。この要因としては、天塩川やサロベツ川の流量が増し、パンケ沼の塩分濃度が低下したことが挙げられます。最近では、降雨量の増加に伴い逆流が起こらず、シジミの産卵期に影響を与えていると考えられています。

アクセス

パンケ沼へは、宗谷本線の下沼駅から徒歩で約30分、約2キロメートルの距離です。また、国道40号からもアクセスが可能です。

高い生態系の価値を持つパンケ沼は、自然環境の保護と生物多様性に貢献しています。訪れる人々には、心豊かな自然体験を提供しており、観察や散策に適した環境が整っています。

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