パンテオン (パリ)

パンテオンの概要

パンテオン（フランス語: Le Panthéon）は、パリの5区に位置する壮麗な新古典主義建築です。この建物は聖ジュヌヴィエーヴの丘にあり、幅110メートル、奥行き84メートルのギリシャ十字型の平面を特徴としており、立派なドームとコリント式の円柱が組み合わさっています。元々はサント＝ジュヌヴィエーヴ教会として建設されましたが、現在ではフランスの偉人たちの遺体を祀る墓所としても知られています。

この名称「パンテオン」は、ギリシャ語で「諸神の家」を意味し、日本語では「万神殿」と訳されることもあります。パンテーンの存在は、フランス文化や歴史において重要な位置を占めており、様々な歴史的な出来事と深く結びついています。

建設の歴史

1755年、フランス政府は聖ジュヌヴィエーヴに献堂するための教会の建設を開始することを決定しました。このプロジェクトの設計は「パリの国王の建築物の監督官」であったジャック・ジェルメン・スフロに任せられました。彼は、建築に対する深い理解と精密な解析を行い、従来のゴシック様式から新しいスタイルを模索しました。特に、彼はロンドンのセント・ポール大聖堂やパリのアンヴァリッド（廃兵院）などを参考にして、ドームの構造を設計しました。

パンテオンの建設は1755年に始まりましたが、1778年にドームを支える主ピアに亀裂が見つかるなど、構造的な問題が発生しました。設計者のスフロが1780年に死去した後、この問題に対処するために外壁の開口部が塞がれる措置が取られ、最終的には1792年に完成を迎えました。しかし、完成後まもなくして、フランス革命に伴い、国民議会がこの建物をフランスの偉人たちを祀る場所として利用することを決定しました。

ナポレオンの時代には、再び教会堂として使用されましたが、1885年以降、再び墓所としての役割を担うようになり、現在に至るまでその役割を維持しています。パンテオンは、このように歴史の中で変遷を遂げながらも、フランスの文化的・歴史的アイコンとなっています。

美しい建築の特徴

パンテオンは、新古典主義建築の見事な例と見なされており、特にその美しいドームと洗練されたコリント式の円柱には、多くの評価があります。建築理論家マルク・アントワーヌ・ロジエは、パンテオンを「完全なる建築のモデル」と称賛しました。この建物は、ギリシャ建築に見られる純粋さを表現しており、当時の建築家たちに多大な影響を与えました。

埋葬されている偉人たち

パンテオンには、多くの著名なフランスの偉人たちが埋葬されています。その中には、哲学者のヴォルテールや思想家のジャン＝ジャック・ルソー、小説家のヴィクトル・ユーゴー、そして物理学者のマリ・キュリーなど、歴史的な人物が名を連ねています。彼らの貢献は、フランス、さらには世界の文化や科学の発展に大きく寄与しました。

文化的な影響

また、パンテオンは物理学者フーコーによる振り子の実験でも知られています。現在でも天井から吊るされた振り子が1日の時を刻むように展示されており、訪れる人々に科学的な興味を喚起させています。

このように、パンテオンは単なる建物ではなく、フランスの文化と歴史の中で重要な役割を果たしてきた場所です。教会として、また mausoleum（霊廟）としての機能を持ち続け、多くの人々に親しまれ続けているのです。

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