パントレセレブル

パントレセレブル：1990年代を代表する名馬

パントレセレブル（Peintre Célèbre）は、アメリカ合衆国生まれの競走馬で、フランスを舞台に数々の栄光を手にしました。その名は「有名な画家」を意味し、その活躍はまさに芸術的と呼ぶにふさわしいものでした。

華麗なる競走馬時代

2歳シーズンを終え3歳となったパントレセレブルは、グレフュール賞を制覇し、勢いそのままにジョッケクルブ賞（フランスダービー）に挑戦。ここではオスカーを2馬身突き放す圧勝劇を演じ、その後もパリ大賞典を連勝しました。秋には凱旋門賞を目標に休養し、ニエル賞では不利があり2着と敗れましたが、本番ではその実力を遺憾なく発揮しました。

凱旋門賞では、直線で後続馬を一気に突き放し、ピルサドスキーに5馬身差をつけて圧勝。この着差は、凱旋門賞の歴史においてリボー、シーバードの6馬身差に次ぐ記録となりました。さらに、タイムも2分24秒6という驚異的な速さで従来の記録を1秒7も更新するレースレコードを樹立しました。

その年の活躍により、カルティエ賞年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出され、レーティングも139ポンドという1995年以降最高の評価を得ました。しかし、翌年、屈腱炎を発症し、惜しまれつつも現役を引退することとなりました。

種牡馬としての成功

競走馬引退後、パントレセレブルは種牡馬として新たな道を歩み始めました。2001年には日本でも供用され、数々の優秀な産駒を輩出しました。

代表的な産駒として、2006年の凱旋門賞で2着となったプライド、ドイツダービーを制したダイジンなどが挙げられます。これらの産駒は、世界各地のレースで活躍し、父であるパントレセレブルの名声をさらに高めました。 他にも、ヴァレーアンシャンテ（香港ヴァーズ）、ミスターセレブリティ（ジョージメインステークス）、ミスターサンドグローパー（ウェストオーストラリアンダービー）、キャッスルデール（サンタアニタダービー、シューメイカーブリーダーズカップマイルステークス）、パールオブラヴ（イタリアグランクリテリウム）、ヘレンマスコット（香港クラシックマイル、香港ダービー）、ベルエトセレブル（サンタラリ賞）、バイワード（プリンスオブウェールズステークス）など、多くの活躍馬を輩出しています。日本調教馬ではシュフルール（春麗ジャンプステークス）、サイキョウワールド（サンタクロースステークス）などが知られています。

さらに、ブルードメアサイアー（母父）としても、Red Cadeaux（香港ヴァーズ）、Gathering（レールウェイステークス）、Cambina（アメリカンオークス）、Nymphea（ベルリン大賞）、Talent（イギリスオークス）、Protectionist（メルボルンカップ、ベルリン大賞）、Vadamos（ムーラン・ド・ロンシャン賞）、Nightflower（オイロパ賞2回）、Nutan（ドイチェスダービー）、Pakistan Star（クイーンエリザベス2世カップ、香港チャンピオンズ&チャターカップ）、Hit Emerit（亜・セレクシオン大賞）、Huetor（ドゥームベンカップ2回）、India（オイロパ賞）、Economics（アイリッシュ[[チャンピオンステークス]]）など、数々の活躍馬を生み出しました。

2014年に種牡馬を引退し、功労馬として余生を送り、2021年頃に死亡しました。クールモアスタッドにはその功績を称える石碑が建立されています。

偉大なる名馬への賛辞

主戦騎手であったオリビエ・ペリエ騎手は、パントレセレブルを「上の指示に従っていれば、そのスピードをフルに発揮できることを理解している賢い馬で、彼に跨っているときは最高級のワインを飲んでいるような気分だった」と評しています。この言葉は、パントレセレブルの類まれな能力と、人々を魅了するその風格を端的に表しています。

パントレセレブルは、その圧倒的な強さと気品、そして種牡馬としても残した大きな功績から、1990年代を代表する名馬として、競馬史にその名を永遠に刻み込むことでしょう。

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