パーキン・ウォーベック

パーキン・ウォーベック：ヨーク公を名乗った王位請求者

パーキン・ウォーベック（Perkin Warbeck、1474年頃 - 1499年11月23日）は、テューダー朝初期のイングランドにおける有名な王位請求者でした。彼は、イングランド王エドワード4世の次男であるヨーク公リチャードであると主張し、ヨーロッパの王侯貴族たちから支持を得ながら、イングランド王位奪取を目指した人物です。

ウォーベックの出自は謎に包まれています。彼は現在のベルギー領トゥルネーで生まれたとされていますが、彼の出自や幼少期については確かな記録が残されていません。しかし、彼がエドワード4世に酷似していたという証言が多く存在し、エドワード4世の隠し子、あるいはヨーク家と何らかの繋がりを持つ人物であるという推測がなされています。歴史家フランシス・ベーコンも、ウォーベックをエドワード4世の隠し子であると考えていたと伝えられています。他にも、リチャード3世の息子、もしくはウォーベックの最初の主要支援者であるヨーク公妃マーガレットの子であるという説も存在します。

ウォーベックはまずフランス王シャルル8世、そしてブルゴーニュ公妃マーガレット・オブ・ヨーク（ヨーク朝最後の王女）から支持を受けました。その後、1493年には神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世に招待され、フリードリヒ3世の葬儀にも出席しています。これらの事実は、当時において彼の主張が相当の信憑性を帯びていたことを示唆しています。

1495年、ウォーベックはついにイングランドへの上陸を試みましたが、失敗に終わります。アイルランドへと逃れた彼は、デズモンド伯爵の支援を受け、ウォーターフォードを包囲するも、激しい抵抗に遭い、スコットランドへと撤退しました。スコットランド王ジェームズ4世はウォーベックを歓迎し、ハントリー伯爵ジョージ・ゴードンの娘であるキャサリン・ゴードンとの結婚を認め、さらに月112ポンドもの高額な年金を支給しました。

1496年9月、スコットランドはウォーベックを支援してイングランドに侵攻しましたが、この遠征は失敗に終わります。再びアイルランドへと渡ったウォーベックは、1497年9月12日、120人の兵士と共にイングランド南西部のランズ・エンド付近に上陸します。エクセターへの進軍中、彼の勢力は数千人にまで膨れ上がりましたが、エクセター市民の激しい抵抗とイングランド軍の到着によって、ウォーベックはボーリュー修道院に逃げ込み、降伏しました。

捕虜となったウォーベックは、自らの主張を撤回し、トゥルネーで生まれたフレミングという名前の男であると告白しました。彼はランバート・シムネルと共に、ヘンリー7世の王位請求者として歴史に名を残すこととなります。1498年6月には脱走を試みますが失敗し、ロンドン塔に幽閉されました。

ウォーベックはウォリック伯エドワードと隣り合う独房に入れられましたが、脱走とエドワードの即位を企てたとして、1499年11月23日、ロンドン塔において絞首刑に処されました。彼の死によって、ヨーク朝の王位継承を巡る争いは終焉を迎えたと言えるでしょう。ウォーベックの生涯は、中世イングランドの政治的混乱と、権力闘争の残酷さを象徴する物語として、後世に語り継がれています。彼の出自や真意は今も謎に包まれたままですが、彼の物語は歴史のなかに鮮やかに刻まれています。

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