パーミャチ・メルクーリヤ (防護巡洋艦)

パーミャチ・メルクーリヤ: 歴史と運命

「パーミャチ・メルクーリヤ」（ロシア語: «Па́мять Мерку́рія»）は、ロシア帝国が設計・建造した防護巡洋艦で、黒海艦隊において特に重要な役割を果たしてきた艦船です。本艦は1890年代に発注され、製造過程で多くの困難を乗り越え、1907年に正式に就役しました。その運用期間中、数回にわたり艦名変更や艦種変更がありましたが、そのすべてにおいて本艦はロシア海軍の一員としての使命を遂行しました。

艦名の由来

艦名「パーミャチ・メルクーリヤ」は、「メルクーリイの記憶」を意味し、露土戦争において活躍した艦艇を称えるために与えられました。この艦名は、かつての艦が受け継いだ歴史的な重みを持っています。ニコライ1世の命によって、この艦名は黒海艦隊が常に保持すべきものであると定められました。

設計と建造

「パーミャチ・メルクーリヤ」は、当初「カグール」と名付けられていましたが、1907年に艦名が改称されました。設計はバルト艦隊向けに行われた「ボガトィーリ」級を基にしており、その特性を生かしながらも黒海艦隊での役割に適合させました。建造は遅延を繰り返しながらも、1907年に遂に艦隊へ配備されました。これにより、ロシア海軍は近代化された巡洋艦を手に入れたのです。

艦の運用は第一次世界大戦の最初の頃から始まり、多様な任務に従事しました。艦隊の中核として、巡航や偵察、交戦などあらゆる任務に投入され、革命前後の混乱の中でも生き残った艦でした。艦の運用の中で、様々な改修を受けつつ、戦術的な重要性を維持しました。

戦争と運命

第一次世界大戦では、様々な任務を果たすと同時に、艦内では政治的な動きも見られました。艦の乗員による革命活動が広がり、艦はしばしば混乱の中心となりました。せめて艦隊における地位は維持されたものの、政治的な要求は艦内での規律を乱す要因にもなりました。

1921年には、「パーミャチ・メルクーリヤ」は修復の後、ロシア社会主義ソビエト共和国へ編入され、艦名も再び変更されました。この艦は「コミンテルン」と名付けられ、赤軍の一環として海上作戦を続けました。

1941年には、機雷敷設艦として再利用されましたが、劣悪な状態が続き、最終的には沈没してしまいます。ドイツ空軍による攻撃により大破し、その運命は閉塞船としての役目を終えました。

結句

「パーミャチ・メルクーリヤ」艦はその長い歴史の中で、艦名に込められた精神を保ち続け、時代の変遷と共に多くの役割を果たしてきました。彼女の物語は、ただの艦船の物語ではなく、ロシア海軍の歴史そのものであり、国民にとって重要な記憶として生き続けています。

もう一度検索