パーライン・ムルコス彗星

パーライン・ムルコス彗星（18D/Perrine-Mrkos）は、太陽系を周回する周期彗星であり、木星族彗星に分類されます。この彗星は、その発見と再発見、そして消失という特異な観測史を持っています。

発見と再発見

パーライン・ムルコス彗星は、1896年12月9日にアメリカの天文学者チャールズ・パーラインによって初めて発見されました。パーラインは、カリフォルニア州にあるリック天文台で観測を行い、この彗星を捉えました。その後、1909年の回帰時には観測されましたが、それ以降は観測されなくなり、一時は消失したと考えられていました。

しかし、1955年10月19日、チェコの天文学者アントニーン・ムルコスが、スカルナテ・プレソ天文台で双眼鏡を用いてこの彗星を再発見しました。この再発見は、天文学界に大きな驚きをもたらしました。後に、カリフォルニア大学バークレー校のリーランド・カニンガムによって、ムルコスが発見した彗星がパーラインが発見したものと同一であることが確認され、パーライン・ムルコス彗星と命名されました。

ビエラ彗星との関連性

ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・リステンパートらは、パーライン・ムルコス彗星の軌道が、かつて存在し、消失したと考えられていたビエラ彗星の軌道と、近日点引数を除いて類似していることに気づきました。この類似性から、両彗星が何らかの関連性を持っているのではないかという仮説が立てられました。しかし、木星の摂動を考慮に入れても、両彗星の軌道は完全に一致せず、関連性は否定されました。

消失

この彗星は、1968年に最後に観測されて以降、予測されていた1975年以降の回帰では姿を現すことはありませんでした。そのため、現在は消失したと考えられています。彗星の符号は、周期彗星であることを示す「P」ではなく、消失した彗星であることを示す「D」が付けられています。

近日点通過

パーライン・ムルコス彗星は、観測されなくなるまでに以下の日時に近日点を通過しました。

1896年11月25日
1903年4月22日（観測されず）
1909年11月1日
1916年5月22日（観測されず）
1922年12月23日（観測されず）
1929年7月26日（観測されず）
1936年2月23日（観測されず）
1942年9月22日（観測されず）
1949年4月5日（観測されず）
1955年9月27日
1962年2月12日
1968年11月1日

これらのデータから、パーライン・ムルコス彗星は、数回にわたって観測を逃し、最終的には姿を消してしまったことがわかります。

結論

パーライン・ムルコス彗星は、発見、消失、再発見、そして再びの消失という、数奇な運命を辿った彗星です。その観測史は、彗星の軌道や存在が必ずしも安定したものではないことを示唆しており、天文学の研究において重要な事例となっています。

外部リンク

18D/Perrine-Mrkos - JPL Small-Body Database
接近アプローチ
発見
天体暦
軌道図
軌道要素
物理パラメータ
パーライン・ムルコス彗星 - 小惑星センター

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