ヒガンバナ科

ヒガンバナ科（Amaryllidaceae）

ヒガンバナ科は、単子葉植物に属する科の一つであり、その分類は複数の体系を経て変遷してきました。新エングラー体系やAPG植物分類体系では独立した科として認められていますが、クロンキスト体系ではユリ科に含められていました。ここでは、ヒガンバナ科の分類、特徴、そして注意すべき有毒種について解説します。

分類

新エングラー体系: ユリ目に分類。形態的にはユリ科に類似するものの、子房の位置（ヒガンバナ科は下位、ユリ科は上位または中位）で区別されていました。
APG植物分類体系: 新エングラー体系のヒガンバナ科から一部の属を除いたものを、キジカクシ目ヒガンバナ科としています。APG IIIでは、さらにネギ属（従来のネギ科）やアガパンサス属（従来のアガパンサス科）をヒガンバナ科に含めるように再編されました。

この再編により、ヒガンバナ科はより広範な植物群を包含するようになりました。

下位分類と特徴

ヒガンバナ科は、いくつかの亜科に分類されます。以下に代表的な亜科とその特徴を示します。

アガパンサス亜科（Agapanthoideae）

アガパンサス属のみで構成され、南アフリカに約10種が自生します。以前は独立したアガパンサス科として扱われていました。

ネギ亜科（Allioideae）

APG IIでは独立したネギ科とされていました。ネギ、ニラ、タマネギなど、食用として利用される種が多く含まれます。これらの植物は、硫化アリルを含むため特有の臭気を放ちます。観賞用のアリウムやリューココリーネなどもこの亜科に属します。

ヒガンバナ亜科（Amaryllidoideae）

ヒガンバナ、ネリネ、スイセンなど、美しい花を咲かせる種が多く、園芸植物として広く利用されています。しかし、全草にリコリンを含む有毒種も多いため、注意が必要です。

有毒植物と誤食事故

ヒガンバナ科には、スイセン、ヒガンバナ、イフェイオン、ゼフィランサス、ネリネなど、有毒な植物が多く存在します。これらの植物は、畑の周囲に植えることでモグラ避けとして利用されることもありますが、家庭菜園などでは誤食による中毒事故の原因となることがあります。特にスイセンはニラと間違えやすいため、注意が必要です。

主な属と種

以下に、ヒガンバナ科に含まれる代表的な属と種を挙げます。

ネギ属（Allium）: ネギ、ニラ、タマネギ、ニンニクなど
ヒガンバナ属（Lycoris）: ヒガンバナ、キツネノカミソリ、ナツズイセンなど
スイセン属（Narcissus）: スイセン、ラッパズイセンなど
タマスダレ属（Zephyranthes）: タマスダレ、サフランモドキなど
アガパンサス属（Agapanthus）: アガパンサス

まとめ

ヒガンバナ科は、多様な植物を含む大きな科であり、食用、園芸用として利用される一方で、有毒植物も多く含まれています。これらの植物を扱う際には、正しい知識を持ち、誤食事故を防ぐように心がけましょう。

外部リンク

ヒガンバナ科（画像）：フラボン
* チリのアマリリス

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